より多くの魔術師を関わらせるシステム
「高名な魔術師と同レベルの学生か……まあ、いるだろうな。それに、本当に高名な魔術師はこの手の仕事をしている暇なんて無いだろ?」
「まあな。そもそも仕事で武器を使い込んでいる間、自分用の武器は使用していない事になるからな。そこを嫌ってやりたがらない者も多いと聞く」
確かに一つの武器を使い込めば使い込む程、優れた武器になっていくのが分かり切ってる以上、わざわざ他人の手に渡る武器を使う意味は無いな。
「そんな事をするくらいなら自分の武器を鍛えていた方がマシと考えているわけか。まあ、そうかもしれんな。しかし、限度ってものはあるよな? 武器なんて基本的には消耗品だ。使えば使う程強くなると言っても、使い過ぎれば壊れるものだろう?」
「その時は作り直すだけだ。宝石や金属など、魔力を貯め込みやすく長期間に渡って保管できる物質を用いる事でより上質な武器を鍛え上げる事が出来るからな。イメージとしては、武器を鍛えるというよりは核となる物質を強化して、次の武器の素材にするといった感じだ」
なるほどな……武器が壊れると言っても、残骸は残るわけだからな。素材が物質として残る以上は、それを回収して次の武器の素材として用いればより質の高い武器が作れるわけか。
「素材を使い回すのか……宝石は半永久的に残るから良いとして、金属は一度溶かして精錬し直すよな? それでも魔力は込められたままなのか?」
「ああ。それどころか、複数の武器を持ち寄って精錬し直せば、それだけで多彩な魔力が混ざり合う事になる。鍛冶ギルドと学校が密接な関係にあるのもそのためだ」
「……なるほど、破損して不良品になっても、素材として見ればむしろ品質は上がっているのか」
上手く行けば最高品質の武器が鍛え上げられ、悪くても魔力のこもった金属の塊として返って来るわけか。学校側に渡した武器をちゃんと回収する事さえ出来れば最低限の保証はされているのか。
「ああ。そのため武器のリサイクルはより多くの魔術師が関わるようになっている。特に学校やギルドなら不特定多数の魔術師が集まるから、そこから武器を回収出来ればそれだけでよりレベルの高い武器の制作に取り掛かれるわけだ」
鍛冶ギルドとしてはどっちに転んでも良いわけか。上手いシステムを考え付くものだな。




