武器は複数人で作るもの
「まあ、武器の特徴からどこの誰がいつ作ったものなのかまで特定出来る鑑定士はいるだろうな」
「いてもおかしくは無いな。もっとも、誰が作ったかまで特定するには、武器の方にもそれ相応の値段のものになるがな」
「そりゃあ、大量生産すればするほど誤差の範囲も出て来るだろうからな。誰が作ったかの特定は難しいだろうな」
いくら何でも合理的にシステム化された大量生産品から個人の特徴を割り出そうってのは無理がある話だ。
「そもそも誰が作ったかを特定するというのは、特定する事に意味がある必要があるからな。独自性や希少性があるものに限った話だ」
「一点物やオーダーメイドの品って事だな。お前の母親も武器を作ってるって話だったが、やはり名のある鑑定士ならすぐにわかるものなのか?」
「ん? お母様か? あれはわかりやすなんてものじゃないな。少し武器に詳しいくらいの素人でもわかるレベルだ」
「そんなに特徴的な作りをしているのか……?」
少し詳しい素人でもわかるレベルって相当なわかりやすさだぞ。
「ああ。特にわかりやすいのが剣や槍のような金属で出来た武器だ。これらは熱で溶けた金属をハンマーで叩いて鍛え上げるのだが……お母様はその際にハンマーに魔力を込めて叩く。それ自体は珍しくないのだが、完成した武器に魔法効果を付与するのもお母様が主体でやる。この武器の製造と魔法の付与を両方やる職人というのがかなり珍しい部類になるわけだ」
「普通は分業するのか……」
まあ、分担出来るならした方が負担は減るわけだからな。分けるのが主流になってもおかしくはないな。それに、詳しくはわからないが、武器の製造と魔法効果の付与はそれぞれ異なる才能が求められそうだしな。単純に両立出来る者が少ないのだろう。
「ああ。普通はそれぞれの専門家に任せるのが普通だ。何せ鍛冶師の才能以外にも専用の魔法に、錬金術の知識も必要になってくるからな。一人でやるよりも専門家同士が話し合った方がより良い物が作れる。それに、魔武器というのは複数人の魔力が混ざり合った状態の方がより優れた武器になると言われているからな」
「そうなのか?」
「ああ。何百年も前に作られた武器が現代の技術や知識を詰め込んだ武器よりも強大な力を持っているのはそのためだ。超一流の魔術師達の魔力が混ざり合って桁違いの増幅効果を発生させているわけだ」
だから複数人体制で武器を作るのか。新品の時点で超一流の魔術師の魔力数人分含んでた方が性能は上がりやすいハズだしな。




