管理は不可能
「まあ、外部からの空気を遮断する事で解決したなら、原因は外部にあるのだろうな。しかし、塩素の使用を禁止するなんて出来るわけがないんだから特定出来たところで他に対策法なんて無いと思うぞ」
「他に対策法が無いという意味ではその通りだな。空気が原因だとすると、気を付けようがないからな」
空気中の成分をリアルタイムで分析する必要があるからな。一応、そういう事が可能な魔法は存在するが……それを二十四時間365日管理を続けるのは不可能だと言えるだろう。
「空気を分析するにしても、作業中だけ分析すれば良いって問題じゃ無いわけだからな」
「当然だな。作業をしていない時でも空気は流れて来るし、作業を始める時に空気が流れ込んでいる事に気が付いたら作業を中断して塩素を取り除く作業に取り掛かるわけだ。とても現実的とは言えんな」
それはそうだろうな。毎朝毎朝、空気中の塩素を取り除く作業をしていたら手間でしょうがないからな。……そもそもの話として空気中の塩素を取り除くなんて事が出来るのかって疑問もあるが。
「外部から空気が流入しない構造にするのが一番手っ取り早いだろうな」
「実際、今現在になっても他の案が出て来ない以上は遮断するのが確実なのだろうな」
まあ、空気を管理するよりも壁でも立てて入って来ないようにするのが楽だろう。壁を立てる初期投資さえしてしまえば良いだけの話だからな。
「封鎖すれば、後は穴でも開かない限りは放っておいても問題無いわけだからな。変に管理法を確立して毎日実践するよりはマシだろ」
「それはそうだろうな。まあ、そういうわけで国外であっても品質の高さを保っているわけだ」
「そりゃあ細かい規格も必要になるわけだな」
細かい部分まで色々と決めておかないと、いざ問題が発生した時に原因を突き止める方法が虱潰しになるからな。
「大量生産の宿命だなこれは。他のところも似たようなものだ。そのせいで武器に詳しい鑑定士なら少し調べただけでどこのギルドで製造された武器か特定する事が出来る。その年代までな」
それぞれが独自の規格を作って製造しているから、鑑定士は用いられている規格を逆算出来ればすぐに特定出来てしまうわけか。刀も焼き入れによって刃文に特徴が出ると聞くし、それと似たようなものか。




