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崩天蛇神の秩序維持  作者: てるてるぼうず
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新しければ良いとは限らない

「まあ、確かにたくさんの武器があるのはその通りだな。時代が進めば技術力の向上によってより質の高い武器が安価で流通する事になるからな」

「……と、いう事は、小さな村では技術革新についていけない可能性もあるのか?」


 武器の性能が毎年向上していくと仮定するなら、自力で作るというのもバカバカしく思えてきてしまうかもな。


「そりゃあ、小さな村では無理だ。……が、技術革新についていけないという話なら、それは何も小さな村に限った話ではない。それなりに発展した都会であったとしても、我が領地であってもついていけない部分はある」

「お前のところでもか……?」

「それはそうだろう。技術の向上と言っても、それを逐一反映するなんて事は特に繁栄した地域であったとしても難しい話だ。端的に言ってしまえば、投資した資金を回収する前に次の革新が訪れるなんて事はザラにあるからな。とてもじゃないが全地域に浸透させるなんて芸当は不可能だな」


 なるほどな……どれだけ技術が進歩しても、その設備を設置出来るかどうかは別問題だ。


「設備投資が追い付かないわけか」

「ああ。こればかりは実際に鍛冶ギルドの現場に足を運んで見学でもしない事にはわからない事かもしれんが、国内で有名なギルドであっても、使用している設備の年代に数十年の開きがあるなんて事は当たり前の事だ」

「最先端の設備の隣に、一昔前や二昔前とか、そういうレベルじゃない古さの設備が設置されているって事もありえるわけか」

「言ってしまえば、本当にそういう鍛冶屋もあるな。そのため市場には最先端の製法で鍛えられた武器と数十年前の技術で鍛えられた武器が同時に存在していたりするわけだ」


 まあ、まだまだ使用出来る設備があるのにそれを廃棄して新しい設備を投入するって判断を下すのは中々勇気のいる決断ではあるだろうからな。老朽化が酷くなったから新しい設備を導入するという流れが自然なのだろう。そして、この手の設備が十年やそこらで修理すら不可能な程に使い物にならなくなるかと聞かれたらそんな事はないだろうな。


「費用対効果で考えれば新しいものに取り換える事は出来ないわけか」

「ああ。新技術である程費用もかさむからな。それよりも昔ながらの製法で武器を製造した方が安価だったり、客も昔から使い慣れている武器を好んで買う層も確かにいるから一概に新しければ良いという結論には至らんわけだ」


 確かに買う側からしてみたら自分の命がかかった買い物だからな……普段から使い慣れている物を優先して買うのは自然な話か。

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