結論はわからない
「……数十年間も交易を続けているのに最近まで取引はしていないなんてありえるか? 一方的に武器を仕入れていたのだとしても、無理があるんじゃないか?」
「……まあ、想像もつかないが、その珍しい特産品が現地で完全に消費されるようなものなら、取引の場に出る事は無いだろうな」
もっとも、そこまで閉鎖的な村がどうやって何十年間も交易を続けられているのか……何を売って外貨を獲得して武器を購入しているのか全く想像もつかないがな。
「……信じられない程傷みやすい食材か何かか? ありえんとは断言出来んが……釈然とはせんな」
「まあ、俺達の考え過ぎで、案外普通の村というオチもあると思うぞ? 定期的に武器を仕入れているなら通貨だって普通に流通しているハズだしな。流石にこの時代まで物々交換なんてやってたらその手の噂くらいは耳にするだろ?」
いくら何でも物々交換はあり得んだろうな。そんなの、一方的な略奪が目的でもない限りは商人側がどうにかして通貨の概念を教えるに決まっている。……と、言うより教えなきゃ手間がかかって仕方ないからな。
「それはそうだな。何十年間も交易を続けているのに、その取引相手が金の概念を良く理解していない連中ってのは正直考えられん。この時代にもなって物々交換だなんてボランティアみたいな真似をする程私の家はお人好しでもないだろう」
「だとすると、お前の家に何らかの物は売っている事になるな。それで得た金で武器を購入しているってところか? 実際にはもっと他のところとも交流はあるとは思うが……最も単純な図式で考えればこんなところか」
まあ、結局は良くわからんというのが結論だな。そもそも数十年間も定期的に武器を購入するというのがわからん。流石に年代の変化とともに武器も幾らかは更新されてはいるとは思うが……そこまで高度な技術を必要とするものでもないハズだし、それを自分のところで作ろうとしないのも良くわからん。定位的に購入する以上は最低限以上は使用する機会があるという事だし、そんなに必要なら自分で作るという選択肢は自然と上がってくるハズだが。




