本当に悲惨なのは……
「……仮にも国が組織している軍隊が村一つも落とせずに敗走となると……とてもじゃないが国民には公表できないな」
「ああ。それは現場の指揮官が一番感じていたらしく、そのせいで撤退の判断が遅れて壊滅的な被害にまで及んだようだ。奇跡の勝利の直後の史上まれに見る大敗北だな」
戦って負けたってわけでもないのがなおさら悲惨さを際立たせるな。それなら最低限度の格好もつくが……そもそもまともに戦える状態の軍団を維持出来ませんでしたというのは、計画そのものに無理があったとしか言い様が無い。
「何も出来ないまま敗走したのに被害だけはしっかりと受けたのか……」
「相手の方も国力はボロボロの上に、農村一つ落とせずに敗走したせいでかえって本隊との戦闘も無かったから兵士達への被害はそこまででも無かったようだ。深刻だったのが補給部隊の方で、物資を焼かれたり奪われたり……焼けた血肉の匂いに釣られて集まってきた魔物に襲われたりで散々な様子だったようだ。特に尾を引いたのが、物資だけでなく物資を運搬するための馬車などの移動手段まで大打撃を受けた事だ。これのせいで交易にまで支障をきたしたようだぞ」
物を用意出来てもそれを遠くまで運ぶ手段を失ってしまったのか。それは致命的と言わざるを得ないな。人体で言えば肺に酸素はあるのにそれを運ぶ血液が無いと言っているようなものだ。
「良く滅ばずに存続出来たものだな……相手の方も反撃に出られない程の瀕死状態だったという事か。酷い話だ」
「本当に特に悲惨なのは当事者ではない他の国だな。何せ報復戦争が始まった時点でどちらの国の側につくかで命運が分かれると言っても良い状態だったわけだ。そんな中で侵略に失敗した国と、その軍団を撃退した国……どちら側につくかは明白だろう?」
「普通に考えれば勝ち馬に乗りたがるだろうな。その期待はものの見事に裏切られたわけか」
確かに悲惨な末路をたどりそうだな。




