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崩天蛇神の秩序維持  作者: てるてるぼうず
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そこで守る意味

「その通りだ。トンネルの中で待ち構えていた方が守りやすい。侵入者が何百人といようが、トンネルを通る以外に道が無いのであれば、理論上何百人が襲ってこようが撃退出来る」

「狭いトンネルの中じゃ回り込む事も囲う事も出来ないからな。逆に言えば、トンネルから一歩でも外に出たら周囲を囲う壁は無くなるから包囲されて袋叩きにされる危険性がある」


 まあ、これは戦いの基本戦略の一つだな。敵を狭い場所に誘い込めれば一網打尽に出来るチャンスは増える。


「……で、問題となっているその土地は渓谷を出た先……つまりトンネルの外に門番が立っている状態だったわけだ」

「間違いなく狙われるな」

「ああ。だから様々な国がそこを狙った。そしてそれに対して全力で守ったわけだ。何せそこを占拠されるという事は、トンネルの入り口を拠点にされるようなものだからな。これではトンネルの中に潜んでいる場合では無い」


 確かに、トンネルの中に潜んで敵を待ち構えるという戦略は、敵がトンネルの中に侵入してくるのが前提の戦略だ。もし敵がトンネルの出入り口に拠点を作るだけでそれ以上攻め込まなかったら、待ち伏せは何の意味も持たなくなる。


「侵入者には強いが、入り口で立ち止まってしまうと、どうする事も出来ないな。攻撃を止めた以上は攻守の関係は逆転する事になる。つまり、トンネルの入り口で待ち構えている敵の集団に対して、攻撃を仕掛ける必要が出て来るわけだ」


 そうなれば、今までの前提は完全に崩壊する。敵はトンネルの入り口にさえ守りを固めてしまえば良いわけだからな。それに対して奪い返す側は唯一の移動経路がトンネルしかないから、敵が待ち構えているのを承知で戦わなければならなくなる。


「こうなったら土地を奪い返す事はほぼ不可能になる。出現する敵の位置が分かり切っている以上、そこを包囲するように戦力を配置すれば終わりだ」

「お互いにトンネルを境界線に拮抗状態が発生してしまうわけか。だが、その拮抗状態で全体の勝敗は決してしまうわけだ。侵略側は蓋を閉めた状態に出来るし、奪われた方は交易ルートを封鎖されるわけだから、もはやどうする事も出来なくなる」


 敵の封じ込めに成功した時点で、もう戦う意味は無い。後は疲弊していくのを待つだけだ。


「それがわかっていたから、戦いは延々と続いてしまったわけだな。他の交易ルートが開通するまでの間な」


 封じ込めが出来なくなった時点で、占拠しておく価値は薄くなるからな。そうなってくると、リスクとリターンの釣り合いが取れなくなって、侵略の手は緩んでいったわけか。

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