欲しいなら奪う
「トンネルの出入り口か……途中で分かれ道も無く確実に通らなければならない道という意味ではその通りだな。その道を避けて通る場合、山の中を歩く事になると言う点を含めてもな」
「直進するか遠回りするかの二つに一つだ。土地の所有権の問題で迂回して通らなければならないなんて問題は良くある事だろう。それが国レベルで発生しているわけだ」
要は直進して近道したいが、それをやると他人の私有地に無断で侵入している事になるから出来ないという事だ。
「個人レベルでの話なら、お互いに話し合って決める事になるだろうな。これは国レベルでも同様だが」
「上手くまとまる可能性があるのは、むしろ国同士の場合の方だがな。個人レベルじゃまとまらないだろ」
要するに自分の家の庭に他人を通すかどうかって話だからな……嫌なものは嫌だろう。
「まとまらない可能性は高いな。仮に土地を買い取るにしたって、相手がその交渉に乗ってくれない事には話は先に進まない」
「まあ、突然土地を売ってくれと言われても普通は身構えるだろうな……」
「それでも交渉の余地があるだけまだマシだろう。他人の土地なら売買可能でも、これが他国となると話は大きく変わってくる」
……まあ、外国人に土地を売るってのとは根本からして意味の違う文脈で言っているのだろうな。
「……実際のところ、領土を金で買うってのは可能なのか?」
「わからん。理論上は可能なのだろうとは思うが……それでも表向きは金で取引したとは決して言わないだろうな」
まあ、それは当然だな。そんな事を言ったら、金銭で領土を売買出来ると公言しているようなものだ。
「事実上、金だったとしてもそうは発言しないだろうな」
「それに、幸か不幸かもっとシンプルな入手方法もあるにはあるからな。だいたいはそっちをするのが殆どだ」
まあ、欲しいなら奪うって話になるな。




