専門家でも意見はわかれる
「何にせよ、開拓を行い人類の生活圏を広げるべしという王様の政策は当時の国民から理解を得られるものではなかったわけだな」
「それだって仕方のない部分は多い。そもそもの成功例が少なすぎたのだ。そこで時間をかけて確度の高い場所から開拓していこうと言う風に変化していき、莫大な予算を注ぎ込んでシンジケートに新しい交易ルートの構築を依頼する計画が立てられたわけだ。もっとも……この計画が立てられて実行されるまでの間に別の交易ルートが繋がってしまったおかげで、その計画すらも批判の対象になってしまったがな」
……まあ、国が大規模な計画を立てている間にその計画に似たような事が民間で達成されてしまったら、批判されるだろうな。
「そりゃあ、結果が同じなら金も時間も少なく済んだ方が良いと思うのは当然だろうな」
「だが、実際にはそう上手く事が運ぶ事は期待出来ん。当時としてみても、現代の評価としてみても奇跡的な出来事として扱われているからな。奇跡を期待しない以上は、金と時間をかけてじっくりと計画を進める必要がある」
「まあ、国としては成功率の高さは無視出来ないファクターだろうからな。成功率1パーセントの計画を下手な鉄砲みたいに乱発すりゃ良いような立場じゃない」
……まあ、それで本当に期待値が上回ってるというのであれば、また話は変わってくるのかもしれないが……賛否両論は避けられないな。
「百分の一もあれば良い方だがな。専門家によってかなりバラつきはあるが、数百分の一だとか、人によっては数万分の一だと考える専門家もいるぞ」
「……まあ、百分の一なんてのはただの例えだが……そんなに数字にバラつきがあるのか?」
「ああ。この成功率にはかなりの数の係数を用いるらしいのだが……専門家によって用いる係数がバラバラらしい。特に自然災害の発生確率だな。これのブレ幅が極端に大きいのが原因だ」
自然災害か……まあ、確かに何年に一回、どれくらいの災害が発生すると仮定するかは専門家の間でもかなり意見が分かれそうだな。




