評価されやすいタイプ
「ああ。当時の王様の評価は当時としては妥当だったというわけだ。実際のところ、開拓事業を成功に導いた後は評価は高くなってるだろ?」
「それは、まあ、当然そうなっているな」
だろうな。王様に対する辛辣な評価の理由が開拓事業に精力的である事の不信感である以上、開拓事業が成功したという結果が出れば評価は高くなるだろう。
「まあ、それで低かったら意味がわからんからな。これもある意味では後世の人間の評価と言えるわけだ」
「確かにその人物の行った出来事一つで評価を一変させるなんて事は良くある事だな」
「この時までは有能だが、これ以降は無能とかか」
「それもあるし、ある一つの失敗を指して評価を下げている人物がいたとして、その後の研究などでそれ以外の部分では優秀だったり、他の分野では十二分の活躍をしていた事がわかったりする事もある」
再評価路線ってやつか。
「時代の変化ってより、新しい加点減点の要因が発見されたって感じか。まあ、昔の人物なら多いだろうな。そういうのは」
「単に平和な時代を統治していただけの国王の評価に戦争で勝ったとか、軍略の才覚があったとかの評価基準なんて存在しないわけだからな。高く評価されるのはどうしても激動の時代を上手く切り抜けた国王になってしまう」
まあ、それはそうだろうな。平和な時代の王様なんてよほど歴史的に重要な出来事がない限りは人々の記憶にも残らないだろうからな。
「良くも悪くも後世に語り継ぐような事をしていなければ、評価の下しようがないわけだからな」
「平和な時代なら、家臣の言う事を真っ当に参考にすれば良いだけの話だから、評価は上がりにくいな。まあ、芸術だとか、もっと別の分野で評価されている人物もいるにはいるが、歴史の教科書に載るようなタイプではないし、何より特殊な例だからなそれは」




