一蓮托生
「人目につかないように……か。確かに難しいだろうな。わざわざ安全とは言い難い道を選ぶという時点で危険は付きまとうわけだが、それを誰に頼むかでも問題がありそうだ」
人目につかないように運んでくれという依頼の時点で怪しいのに、そんな怪しい仕事の依頼に対して詮索してこない相手を探す必要があるわけだからな。そして、結果として事故が発生したというのであれば、上手く行かなかったというわけだ。
「誰に頼むか……と言うのは問題だな。金にものを言わせてどうにかするというのも一つの手だが……それ以前の問題でもある。何せそのような依頼をするような相手ならば、もっと昔から何かしらの仕事の依頼をしているハズだからだ。という事はつまり、その時からの繋がりに気が付いている住民がいる可能性もあるわけだな」
確かに一理ある話だな。詮索されたくない仕事を見ず知らずの他人に任せられるかと聞かれると、大概の奴は否定するだろう。そうなれば付き合いの長い相手を頼るのは当然の話だ。
「以前から色々な仕事を依頼してきたギルドを頼りたいと言うのは頷けるな。……しかし、そうなるとそのギルドとはかなり昔から表沙汰には出来ないような仕事を任せていた事になるな」
「住民は共犯の関係にあったと考えるだろうな。つまり、そういったギルドは捕まった奴と繋がりがあったと知られては不味いわけだな」
「捕まったら芋づる式に自分達のやってた事も明るみに出る危険性があるわけか。全力で逃がすだろうな」
まさに一蓮托生だな。
「もしくは最初から見捨てるかだな」
「見捨てるって……捕まったら繋がっているのがバレるだろう? 捕まった奴だって自分が見捨てられたと考えたら秘密を守るとも思えん」
「確たる証拠がなければいくらでも言い逃れ出来るからな。ちゃんと証拠を消しているならそれで何とかなるだろう。そして、証拠が残っていると考えているなら、自分との繋がりを話せなくしてしまえば良いわけだ」
「……見捨てるってのはまさか……口封じか?」
「下手な事を喋られたらギルドは終わりだからな。それに人目につかない場所を移動するという事は、道中で何かあったとしても、誰かに気づかれる可能性は低いわけだろう?」
助け舟を出すどころかドロ舟に乗せて船ごと消すわけか。確かにギルドが自分の身を守るために取る行動としてなら、そこまでおかしい行動ではないのか。一蓮托生って関係も、案外成り立たないものだな。




