ならず者大量発生の原因
「なるほどな……開拓の話が出た時に随分とならず者の話が出たと思ったが、そういう背景があったのか」
いくら何でもならず者の人数がやけに多いと思っていたが……そういう事なら納得だ。
「ああ。ならず者のその殆どが村民だったり、本職では食えなくなった民間人だったりする」
「そんな状況でシンジケートは巨万の富を持っていたのか……」
「国が迂闊に手出し出来なかったわけだな。正確にはシンジケートの活動期間が思った以上に長く、壊滅の危機に瀕してしまった時に保険ギルドの経営破綻が発生してしまい、シンジケートの相手をしている暇が無くなって九死に一生を得たわけだ」
土地の権利書を売り渡して現金を保有していたのがここに来て吉と出たのか。
「保険にも手を出してそうなイメージもあるが……そうでもなかったのか」
「多少手は出していたとは思うぞ? ただ、開拓事業を行っているわけだから、どちらかと言えば保険を扱うというよりも保険の対象になる事の方が多かったとは思うがな」
「有志で金を集めて、開拓が成功するかどうかで保険をかけていたのか?」
「その通りだ。その時の配当の目安になるのが保険ギルドからの評価だ。評価が高ければ、成功率が高いわけだから保険料は安くなる。当然、配当も安くなるわけだ」
ハイリスクハイリターンか、ローリスクローリターンかの目安は保険ギルドが決定していたのか。
「分析が正確なら問題は無いな。だが、問題なのは正確ではない評価を出した事にある。当たり前の話だが、評価が高ければ金は集めやすいし、その分配当金も安く済む。不当に高く評価を出しているのであれば、シンジケート側の利益は大きくなるわけだ。何せ配当金が安く見積もられるのだからな」
国からの支援があるにしても、あまりあてになるような物でもなさそうだしな。他からも支援を募ったのか。そして、結果が成功しても配当は安く済むし、失敗したとしても、保険から金が支払わされるのはギルドの方で自分にリスクはない。後は保険ギルドがそれを認めるかどうかだな。




