ライセンス
「とんでもない不祥事だな……それにしても、そんな金や権力を持った連中相手に詐欺を働こうなんて、随分と命知らずな真似をしたギルドもあったものだな」
「当時はギルドと言えども法律に詳しいわけではなかったからな……何もわからずにやったところもあるだろうし、他の出資者とグルになっているところはその出資者が後ろ盾になってくれているという安心感もあったのだろう。もっとも、その出資者も自分の身が危ないと分かったら責任をギルドに押し付けて逃げ出したようだが」
「まあ、当然のことだな」
後ろ盾になるのは、それをするデメリットよりも、メリットの方が多い場合の話だからな。事件後も変わらずに金儲けが出来るのであれば、後ろ盾になったのだろうが……そうでないなら逃げるのが一番だろう。
「当然の話ではあるが……その裏切られたと考えたギルドはある事ない事を喋って少しでも自分の罪を軽くする事が目的だった」
「まあ黙ってたら自分が大変な目に遭うわけだからな。なりふり構っている場合では無かったのだろうな」
少しでも自分たちが生き残る確率を伸ばすためにはどうしたら良いかを考えた末の行動なのだろう。
「まあ、そんなわけで国からの調査や介入が入り、国の出すライセンス無しでは運営する事が出来なくなってしまったわけだ」
何も信用出来ないという状態に陥ったら割を食うのはまじめに仕事をしているマトモなギルドの方だからな。国が新しく作ったライセンスが必要になるというのは必然のようなものか。
「ライセンスなんてものまで新しく作る必要が出てくるとは、国のその時の慌てぶりがうかがえるな」
まあ、そこまでしないといけない程危険な状況に陥っていたという事なのだろう。




