発生した問題
「過小評価されていると思うなら適正な価格で買い取れって事か。まあ、当然の話だな。それに、成果を出したのを確認してから資金を上乗せするのを禁止しているのも当然の事だな。そんなのを認めたら誰だって成功するのを確認するまで金を出さなくなるに決まっている」
「実際にそれをやろうとして問題になった事があったからな。もしもそれが認められていたとしたら……トレジャーハンターは絶滅していただろうな」
「それじゃあ先行投資をするメリットが無さ過ぎるからな。成功してから金を出しますじゃ、挑戦に必要な資金なんて一生かかっても集まりっこない」
最初の資金集めが最も重要だってのに、その資金を出し渋るようなルールを作ったらシステムそのものが破綻してしまう。
「そういうわけで色々とルールが作られた。保険ギルドも保険契約を結べなかったら廃業になってしまうからな」
「その契約だって、どれくらいの確率で成功するのかの分析が正確に出来ていないとどんなに結んだところで話にならないからな」
「実際に、それを真似して幾つかのギルドが新しく出来たが、その殆どが破綻した。情報の分析不足に身内びいき……皆が思ったほど楽に商売は出来なかったというわけだ」
……まあ、保険なんて何も知らない奴からしてみたら何もしてないのに仲介手数料を得られる錬金術に見えるだろうからな。
「まあ、そういうのは盤石な地位を築いているようなところでもバレたら不味いのに、ましてや黎明期の時代でそんな事をしたら一瞬で廃業だろうな」
当時の状況を考えれば、出資出来るのなんて一部の金持ちや資産家、王侯貴族の類だけだろう。そんな金持ち達を相手に雑な商売をしようものなら……泣きを見るのは当然の末路と言えるだろう。
「ギルドの廃業だけで済めばまだ良い方だ。当事者に責任を追及すれば良いだけの話だからな。最悪なのは、不正を行っていた場合の中でも出資者の中に共犯者がいた場合だ。これが発覚した場合、共犯した者と割を食った者とが対立する事になるわけだ」
「当時トレジャーハンターに出資なんて真似が出来るのは金や権力を持った者くらいのものだろう。そいつらが対立するとなると……まずいことになるな」
「戦争にまで問題が拗れた事もあると言われているな。どこまで本当の事かはわからないが……それが信じられるくらいには問題が起きたし、国が調査のために介入するような事も起きた」
国が動くレベルの大事件かよ。まあ、こんなくだらない理由で戦争の引き金になるくらいなら、国が直々に調査に乗り出す事を考えるのも自然かもしれないな。




