より純粋に人が集まる場所
「なるほどな……人口があまりにも密集し過ぎていると飛空艇のような巨大な乗り物を管理する空間すら用意出来なくなるのか」
「ああ。だから少し離れた郊外に建設する。そして、そこから都へと続く道と移動手段を用意するわけだ。都から遠すぎて利用者が少なくては話にならんからな」
地価の安さと利便性を天秤にかけて建設場所を決定するわけか。
「都には人とモノを集めるわけだが……それをより高い純度で集めるために船や飛空艇は少し離れた場所に配置させるわけか。まあ、それもそうか。船に飛空艇に、そしてそれらから積み下ろされる物資の集積所まで都に建設したら、肝心の人が活動する場所が無くなってしまうわけだからな」
同じ場所に港と空港が隣接してあったら、それはそれで大変な事になるからな。人や物が集まりすぎて渋滞になる。それを考えればこれらはある程度離れた場所にそれぞれ作るのが効率的だろう。すると、都市部となるのは港がある土地でもなく、空港がある場所でもなく、その二つと丁度良く近くにある場所こそが最も栄えた街になるわけだ。
「ああ。より純粋に人と物と金が集まる場所が都会と呼ばれるようになる。そしてそんな都会の最も栄え場所には、もはや人や物や金を運ぶための乗り物すら排除されるというわけだ」
「……究極的には物や金すらも物理的にそこにある必要性は無くなるわけだな。人同士が書類か何かでやりとりをしてしまえば、それで物と金が動いた事になるわけだ」
「まあ、そこまで簡略化が突き詰められた場所など都にあるカジノくらいしか思い当たる場所は無いが……わざわざ現物を持って商売をするよりも、カタログを持って注文を受けて、小切手で取引をした方が手間が省けるというのはその通りだな。もっとも、そんな取引が行われる場面など領主か国王……それか、余程強い権限を与えられた外交官同士でしか聞いた事の無い話だがな」
だろうな。食料だとか……特に燃料だとかを直接持ち込んで商売しようとしても間違いなく失敗するからな。そんな事をするよりも、社長同士が交渉して取引を成立させて、後でその荷物が置いてある集積所から運び出した方が早いし余計な手間もかからんわけだ。……まあ、買う側は現物を見ないで取引をする事になるし、売る側も支払い能力の有無を確認出来ない状態で取引をする事になるから、お互いに余程の信用がなければとても成立するような取引では無いがな。




