経験してないからわからない
「一度でも都会の生活を味わうと田舎には戻れないってわけか。まあ、よくある話なんだろうな……」
田舎の生活水準がどのレベルなのかはわからないが……そもそもの田舎という言葉にだってレベルというものがある。
「そういう者がいるという話というか……噂そのものは聞くな。私にはよくわからんが」
「……まあ、お前にはわからない事だろうな」
オリヴィエの場合、田舎で生活した経験があるのかどうかって話になってくるからな……田舎で生活した経験が無いんじゃ想像もつかない事だろう。
「まあ、人間誰だって便利な生活は送りたいだろうからな」
「飛空艇が一日に何本出るかってだけでもかなり違うだろうな。さっきまで出てた話なら、行商人がどれくらいの頻度で通るのかも物流の観点から重要になってくる」
「確かに飛空艇の離着陸の頻度は場所によって差があるな。その頻度が高いほど、人や物の行き来が多いわけだから……その分栄えていると言えるだろう」
「そもそも飛空艇の離着陸場がある時点で都会と言えるだろうしな」
言ってみれば空港があるかないかって話だ。空港があるならそこは都会と言ってしまっても過言ではないだろう。
「そうか? 都会というのはむしろ離着陸場を設置出来ない程人口が密集しているような都市部の事を言うのではないのか?」
「……いや、そういう定義は知らんが……と、言うより離着陸場の周囲に人が集まるんじゃないのか?」
「勿論、その傾向はあるが……一定以上の人口密度になると設置はとたんに難しくなると言われているな。単純に土地の値段が跳ね上がるからな、人が多くなると」
地価か……確かにそんなに地価の高いところに空港なんて建設したら費用なんて幾らあっても足りるものではないな。
「だが、都市部に設置しないと利用者が減ってしまうだろう?」
「だから都会からは少しだけ離れた郊外に建設する。そこなら地価も抑えられるし、交通の便をよくしてやれば都市部へと発展してくれるのが期待できるからな」
なるほどな。とにかく広い範囲が必要になる飛空艇の離着陸場を地価の高い場所に建設しようとしたら建設中に破産するかもしれない。そこを考えたら少し離れた場所に作るしかないのか。それに、都会にそんなデカい土地を持っているなら、もっと他に有効な使い方があるだろうしな。




