魔物の討伐
「各個撃破か……あり得る話だな。そして、我が一族も他人事では無くなりそうだ」
「お前の家も何かやってるのか? ……まあ、そりゃあ何かしらはやってるか」
そもそもオリヴィエの家は武器商人やってるわけだからな……モロに影響を受けるか。……いや、どちらかと言えば通行料を払う側だからむしろ得をする方か?
「まあな。もっとも、うちが手を引いた仕事なんて両手でも数え切れんがな」
「そんなに失敗しているのか……」
まあ、どれくらいの期間での話をしているのかにもよるが、十回以上事業に失敗してなお大金持ちでいられるのはちょっと信じられんな。
「人聞きの悪い事を言うな。……まあ、本当に失敗もしているが……だいたいは時代の変化に合わせての事だ」
「資源を掘り尽くしたとかか?」
「解釈次第ではそうだな」
「どういう解釈だよ……」
何かを資源に当てはめているのか? それとも資源に対して何かしらの限界を迎えたのか?
「金を稼げる素材を資源と言うなら、狩り尽くして廃業になった事がある。我が国でも交易ルートを開通する際に周辺の魔物を狩ったのだが……その際に完全に狩り尽くして手を引く事になったのだ」
「そんな事を……まあ、安全確保は最優先課題だろうからな。まさか仕事を続けるために魔物をあえて逃がすなんて事はしないだろう」
「普通はそうだな。だが、本当にそれをやった連中というのも間違いなくいる」
……本当にいるのかよ……どういう連中だ?
「狩り尽くすと仕事がなくなるって……ハンターじゃねえんだから……」
鹿とか魚とか、そういうレベルの生き物じゃねえだろ魔物って。
「狩り尽くせば次の仕事の依頼が来なくなる上に、護衛の依頼も無くなってしまうからな。これを嫌ってわざとある程度の危険性を維持しようとした本末転倒なギルドもいた。まあ、新しい交易ルートが開通する度に危険性の高いルートは選ばれなくなっていったから最終的には大損害を出したようだがな」
「……一番の被害者は一般人だな。そのギルドが馬鹿な真似をしなければ……というか、その後からでも魔物の討伐は出来るんじゃないのか?」
「ああ。慌ててやったようだな。まあ、それで減ったものが元に戻るとも限らないわけだがな」




