他は難しい
「他の利権もか……そう上手く行くものなのか？」
「難しいだろうな。そもそも既存の利権が破壊されていくというのはそれが持つ力が弱くなって来ている事を意味しているわけだからな。完全に破壊するという事は、その遥か以前から形骸化していた事を意味しているわけだ」
まあ、利権を守ろうとする働きが全く機能していないわけだからな。
「強い時は国ですら手が出せないというのに、弱くなったら完全に破壊され尽くすとはな。倒すべき時は無敵なのに、倒れそうになったら袋叩きとは皮肉なものだな」
「強大な敵に立ち向かう場合、国と言えども無傷では済まないからな……それを恐れずに攻撃出来る時というのは、結局のところ敵が強大では無くなった時だけだ」
「まあ、だろうな」
国なんて言う超巨大組織がリスクを恐れずに行動出来るかと問われれば、かなり難しいと言わざるを得ないな。少なくともリスクに見合ったリターンは必要だ。それが釣り合わないなら、釣り合うようになるまでリスクが低下するのを待つしかない。
「だが、そういう時にはだいたい、倒そうとする動きだけでなく、助けようとする動きもあったりするものだ」
「元々利害関係が一致してたんだろ？」
「それもあるが、それだけじゃない。復活する事を期待したり、或いはその組織を丸々吸収する目的で……つまり、見返りを求めて助力する者も現れる」
「利権が復活すれば、見返りだって支払えるだろうし、自分がその利権に関われる可能性もあるわけか。やる奴は多いかもな」
強大な影響力を持つ組織をそのまま解体してしまうというのは、確かにもったいないと考える者が現れてもおかしくはないだろう。そんな組織を作るのにだって莫大な時間と金が必要になる事は容易に想像がつく。そんなものを一から作るくらいなら、既にあるものを乗っ取ってしまうのが一番楽だと考えてもおかしくはないだろう。
「ああ。大量にいる。だからこそ今日まで生き残れてきたのだろうからな」
何かあるたびにそうやって守られてきていたのか。
