関係していた貴族
「両者ともに困難な開拓事業を成功させていたと言うのに、随分と明暗が分かれたな。大国二つを敵に回すとは……遅かれ早かれ壊滅していたのだろうが……」
「それはどうだろうな? シンジケートは国の中枢にまで影響力を持っていたわけだから、立ち回りしだいでは敵に回さずに済んだ場合もあったかもしれんぞ。もっとも、国としてはシンジケートを壊滅させたと言う実績は出したいだろうから、手ごろな者を首謀者として捕まえて表向きは解決した事にはするだろうがな」
スケープゴートというやつか。まあ、表向きにはそれくらいの事をしておかないと国民から不信感を持たれる事になるからな。
「トカゲのしっぽ切りをしたら、残った上層部でまた別の組織を作ってそこで暗躍していくわけか……」
「そうするつもりだったのだろうな。だが、それも国の中枢に金を送り込む事が出来ればの話だ。それが無くなればただの国策に悪影響を及ぼすだけの組織だ。わざわざ助けてやる理由は無かったのだろうな」
金の切れ目が縁の切れ目ってわけか。
「理屈としては簡単だが、そう単純な話か? シンジケートから金を受け取っていた貴族はいたわけだろう? それを暴露されたらそいつらも無事では済まないと思うが……」
「実際にただでは済まなかった家もあるな。だが、所詮は悪人の言っている事だ。証拠が出て来なければただの戯言扱いだ」
「証拠が出て来なかった家もあったのか」
「ああ。そこに関しては向こうも本職だからな。シンジケート側にどうしようもない程の決定的な証拠を握られていた家以外は何とか逃げ切ったようだ。……まあ、その中の幾つかはシンジケート壊滅後、何故か経済面で苦境に立たされる事になったらしいがな」
限りなく黒に近いグレーだな……国内でも噂されてたんじゃないか?




