そして壊滅へ
「……まあ、積み荷を狙われる事に対する対処法なんて現代でもそう変わるものでもないわけだからな……それよりも、そもそもの原因を取り除く事の方を優先したと言えるな」
そもそもの原因……つまり、何故ならず者達が積極的に狙って来るのか……という部分だな。
「税率の安い交易ルートが大量に開通してしまえば、シンジケート側にとっては致命的だからな。向こうの組織が崩壊してしまえば、ならず者達にとっても資金源が無くなるわけだから数が減るしかないわけだ」
金が入って来ないとなれば、無駄な事に金を投入している場合ではなくなるからな。
「それは他ならぬシンジケートの上層部もわかっていた事だ。だからこそ新しい交易ルートを利用している商人を襲ったのだろう。だが、これは結果として大外れとなった。何せその時にはすでに別の土地で新しい交易ルートを開通すべく開拓作業に取り掛かっていたのだからな」
「完成したばかりの村に意識が集中してしまったわけだ。それで開拓の初期段階で襲撃を仕掛ける事が出来なかったわけか」
最も脆い時を、他の村を標的に誘導する事で掻い潜って見せたわけだ。
「ああ。気が付いた時にはそれなりの形にはなっていたのだろうな。それを見てから慌てて戦力を揃えて襲撃しようと言うのだから大変だ。ただでさえ利権が崩されかかって思うように金が入って来なくなってきているというのに、ここに来て莫大な費用がかかる事をしなくてはならなくなってしまったのだからな」
まあ、失敗は許されないだろうな。
「そうやって揃えた戦力が、襲撃に失敗して帰還して来た時のシンジケートの連中の顔が思い浮かぶな」
「莫大な費用をかけたのに、その費用が無駄に終わったわけだからな。それでもまだ次の交易ルートが作られたわけではないのだから、圧倒的優位は覆ってはいなかったわけだ。自分の意に沿わぬルートも一本のみ。それも開通したばかりで規模も小さい。それに何より最も厄介な男は別の土地で開拓中となれば、やれる策は幾らでもあったハズなのだ。ところが、負けた分の損失を取り返そうとしてしまい……後は知っての通り、弱体化してしまったところを大国二つ共同の対策チームによって壊滅されてしまったわけだ」
元々、村の開拓を成功に導くだけの能力を持っていたというのに、その末路が組織の壊滅とはな。




