早過ぎる行動
「ああ。結果的に言えば、多少時間をかけてでも最初に可能な限りの戦力を集めて総攻撃を仕掛けるべきだったな」
「言うのは簡単だが、実行に移すとなるとかなり難しい問題が山積みだぞ? まず最初にそれだけの人数を雇うのにはかなりの金が必要になるからな。それに人数が増えれば増える程、それを効率的に運用するための計画が必要になってくる。となれば計画を遂行するための統率者が必要になる」
開拓中の村とは言え、今までの諸々の事情を考えれば襲撃に必要な戦力はちょっとした部隊レベルのものが必要だったハズだ。いくら交易ルートで潤っていたとはいえ気軽に用意出来るようなものではなかったハズだぞ。
「まあ、大人数での集団行動がそんなに楽だと言うのであれば軍隊などと言う組織は作られなかっただろうな。そして軍隊というものは大国でさえ気軽には運用は出来ん。国家レベルでさえ切り札的な使い方に限られると言うのに、それが一つの村で完結するという事はあり得ない話だな。つまり、もっと小さい規模の傭兵集団で作戦を成功させる必要があったわけだ」
オリヴィエの言う通りだな。大規模な戦力の運用が現実的に考えて不可能な以上、傭兵と言う金さえ払えば後は向こうで勝手に作戦を実行してくれる連中の手に負える段階でどうにかすべきだったのだろう。
「開拓の最初の出鼻をくじくのが一番成功率が高かったのだろうが……その開拓の開始が驚く程早かったわけだからな……相手もそこだけは狙われたくなかったのだろうな」
「だろうな。そこさえ狙われなければ村を守り切る自信があったのだろう。実際、村を開拓する際に襲撃があったから対応として迎撃場所を設置するのではなく、襲撃がある事を前提に迎撃施設を作り、それに合わせて村を開拓していったと言われているからな」
どこに敵を誘導して戦うかを計算に入れながら村を開拓していったわけか。という事は、新しく開拓する土地は予め決めてあったと考えるのが妥当だろうな。国だって何度も失敗してたら開拓する土地はどこでも良いってわけじゃないのは理解しているだろうし、防衛機能を重視した場所で開拓するという旨の要望を出しておけば、国の方で事前に候補地を探しておいてくれてもおかしくは無いな。




