二本目の後は三本目
「新しい交易ルートは色々とリスクは高いが交易ルートとして利用出来るという点がデカいというわけか」
「そういう事だな。効率は悪いが、事前に準備を整えておけば真っ当に通れる事を考えると、シンジケート側も法外な税金はかけられなくなったわけだ」
……と、言う事は新しい交易ルートが開通されるまでの間は法外な税金をかけていたのか。
「交易ルートが一本しかない時にいったいどれだけ金を荒稼ぎしたんだ?」
「さあな。だが、すぐさま両国の中枢にまで強い影響力を与える程にまで急成長したと聞くから、単純に金だけという話でもないのだろうな」
「まあ、国同士を繋ぐ唯一の道なわけだからな……」
普通に考えて金を稼げる以上の魅力があるだろうからな。
「その唯一の道が唯一ではなくなってしまったのだから彼らからしてみたら大問題だ。今までは一方的に値段を決められたのに、駆け引きをする必要が生まれてしまった。それだけではない。シンジケート側主体でもう一本の交易ルートを構築する計画が立たれていたのに、それが完全に無価値になってしまった点だ」
「シンジケート側から?」
「ああ。本当にいつまで経っても一本しか無いんじゃ、輸送量に限界があるからな。だから国の支援の下、シンジケート勢力の手で新しい交易ルートを開通させるという計画が立てられ、実行されていたのだ」
もう一本の交易ルートでも利権を確保しようとしたのか。それに国の中枢にはすでにシンジケートの影響が出ている事を考えると、国の金で新しく開拓事業を始めてそれが成功したら利権を確保すると考えていたのだろう。これなら自分にとっては最小限のリスクで最大限のリターンが得られる事になる。
「その計画が成就する前に、別のルートが通ってしまったわけか」
「ああ。しかも彼らにとって最悪だったのは、二本目の交易ルートが通ったとたん、その村を現地民と派遣された騎士に任せて次の土地へ開拓をしに行ってしまった事だ。つまり、三本目の交易ルートが作られる可能性が高まったわけだ」




