買う側も利益追求
「そこまで好条件が揃っていたとはな……」
「だからこそ価格交渉で折り合いが付かなくなり、第三者に売り捌くと言う問題が発生したのだろうな」
なるほど、一理ある話だな。交易ルート上にある安全が確保された村なんて、理想的な条件を全て満たしていると言っても問題無いだろう。
「それだけ好条件を満たしているとなると、売値は相当なものになると思うが……大国だからってそこまでの金があるものなのか?」
「いや、国にだって出せる金額と出せない金額と言うものがある。それになにより、国が直接金を出していたら即国交問題だからな。実際には有力貴族が隠れて買い取っていた。村人からしてみたら土地の権利書が誰に売られたのかわからないまま、ある日突然土地の所有者が出て来るようなものだ」
国に売られたわけではないという事そのものには気付いているのか……? まあ、国から色々と言われるだろうから、どこかで気が付くタイミングがあるのだろうな。
「国の所有する土地になっているとばかり思いこんでいたら、個人に所有されていたわけか。これには村人たちも寝耳に水だろうな」
「ああ。こればかりは現地の人ではどうしようもない話だからな」
「しかし、村一つを買い取るとなると尋常じゃない金が必要だろ。有力貴族だからってそんな金があるのか? どうやって回収するつもりだ?」
開拓も何も行われていないような辺鄙な土地なら二束三文でも、村として発展していけば価格は跳ね上がっていくハズだ。
「流石に現金で一括とはいかないだろうな。分割で払っているハズだ。買い取った事で失った金は、現地で回収すれば良いだけの話だ」
「税金か? まあ、確かに毎年まとまった金を集められるのだから、十分な年月をかければ何とかなるだろう。交易ルート上にあるなら、村の収入もかなりのものになっているハズだしな」
まあ、これに関しては買う側も支払う金以上の利益を出してくれる事を期待して買い取っているわけだしな。何とかなるか。




