同行し続けた人
「とんでもない人物もいたものだな……しかし、片や建国まで成し遂げた奴もいる中でシンジケートを作って壊滅した奴もいるとは、とんでもない時代もあったものだな」
「ああ。シンジケート化した連中もその人を見習えば良かったのに、結局は大国を敵に回して本気で対策されて壊滅だからな」
「大国なんて敵に回すものじゃないって事か。……そういえば、その二つってのは時代としては同時期の話なのか?」
そういえば細かい時代背景は聞いていなかったな。今の話を聞くに、シンジケート化した方は建国した方より後っぽいが。
「ほぼ同時期の話だな。ただ、シンジケート化した方はどこからを始まりとするかで多少意見が別れるがな」
「具体的には?」
「土地の権利書を第三者に売り捌くようになってからとするか、それともシンジケート化してからとするかのどちらかだな。一応、国の記録を確認すれば拝命された具体的な日付もわかるが……」
「ほぼ同時期って事がわかればそれで良い」
それだけ色んな連中が開拓に乗り出していたというわけだな。
「そうか。因みにだが、シンジケート化した後は何度か敵対する事もあったらしいぞ」
「同じ開拓をしているのにか? なんだって敵対なんか……」
「そりゃあ、開拓に失敗してそのコミュニティが壊滅すれば仕事が舞い込むからな。だから大国を本気にさせてしまったわけだ」
「開拓を行っている土地に襲撃を仕掛けたのか……!? どんなシンジケートだよ……」
完全な無政府状態だな。
「それだけ多くの利益を出せたわけだ。開拓中の村に関しても、脅して資源を巻き上げればぼろ儲けだからな」
「やってる事がならず者じゃねえか……」
「だから大国を怒らせた。そして、開拓中の村を積極的に襲うというところに着目して、開拓中の村に極秘で優秀な魔術師を派遣する事があったらしい。最終的には開拓業者に所属して各地を転々としたようだ」
「……最終的に建国までした奴って……」
「そこに所属していたようだな。そのため、建国した人も大国が召し抱えている騎士か魔術師だという説も飛び交っているが、それならそもそも業者である必要が無いから普通に一般人だろうとされている」
開拓中の村が襲われる事が多いから、開拓を終えたらすぐに別の土地で開拓を行うせいでより多く襲われる事になり、何度も接触する事があったのだろうな。それなら最初から同行し続けた方が効率が良いと考えたわけか。




