どのような性格だったか
「あり得ない話じゃないだろ? 人類が壊滅状態で周辺にはまだまだ魔物がうじゃうじゃいるような状況だ。そんな中で小さな国を作ったところですぐに滅びるのは目に見えている。協力し合える近隣国家や自分の住んでいる所では決して手に入らないような物資を入手するための交易ルートの確保は必須だったハズだ」
すでに存在している国家を乗っ取る……と言うのはあまりにも現実的では無いと考えたのだろうな。だが、あまりにも気の長い計画だ。そもそもが無謀な計画と割り切って成功率は度外視するにしても、すべてが上手く行ったとして何年かかるかわかったものではないハズだ。いつ死んでもおかしくないという時代で開拓した村の村長で妥協せずに建国まで目指すとは……信じられないまでの野心だ。
「必要だから全部自分で作ったというわけか? まあ、ろくに成功もせずにあきらめかけている国に任せていては本当に何十年かかるかわかったものではないからな……そう考えると、あまり他人を信用しないタイプの人物だったのか?」
「百年でも二百年でも生き延びるなら気長にも待てるだろうが、そこまで長生きする事は考えてなかっただろうな。すぐに出来ないと考えたなら、自分でやるしかないと考えるのは自然ではあるが……」
いったいどういう精神状態で開拓なんてやっていたんだ?
「まあ、自分がそこまで長生きできるかどうかなんて、子供の段階でわかるものだからな」
「確か……桁違いの魔力を持っていると肉体の成長が遅くなるんだったか?」
「ああ。私の姉上がその体質なのだが……産まれてすぐに判明したからな」
確かに魔力の量なんてのは先天的に決まりそうに思えるな。
「一応聞くが、その人がその体質だった可能性は無いのか?」
「絶対に無い……とまでは断言出来んが、もしもそうなのだとしたら少しはそのような言及がありそうなものだからな。年を取るのが余りにも遅いだとか、そういった村人の日記が無い以上は普通に年を取って亡くなったと考えるのが普通だろうな。それに、もしも長生きしたのだとしたらある時期から話題に上がらな過ぎるからな」
つまり、その時期に死んだ可能性が高いわけか。




