研究される程の人物
「ああ。開拓を続ける事で周辺地域での知名度は上げながら、国から得た報酬で国を立ち上げるための資金を集めていたようだからな……さらに言えば、貴重な鉱石資源の多い土地だったおかげで発展もかなり順調に進んだようだぞ。その手際の良さから考えて、恐らく資源が眠っている事を把握していたのだろうな」
資源が眠っていたのを把握した上でその土地の領土を確保したのか……? ありえる話だな。周辺地域の開拓事業を一手に引き受けていたなら、その土地の事に精通しているのも頷ける。
「他の土地の開拓をしている際に周辺調査で発見したのだろうな。その時に発掘をしなかったのは、独立の際に土地の価値を引き上げないためか、それとも単純に距離がありすぎて出来なかったのか。どちらにしても、その情報を隠し通し続けた手腕は大したものだな」
「その事だが、実はその鉱石資源は当時としてはまだそこまで価値が高かったわけでは無い。その価値が跳ね上がったのは発掘技術の向上に伴い、大量に供給出来るようになってからだ。それまでは研究目的で用いられるだけで、今後需要は増えるだろうと予想されていたにすぎない資源だった。結果は大当たりだがな」
調査で発見しても発掘をしなかったのは、当時の技術じゃ出来なかったし、価値もそこまで無かったからか。
「随分と未来を見据えている奴だな……? 発掘技術がどれだけ進歩しているのか、今後どれだけ進歩するのかを把握していないと大変な事になるんじゃないのか?」
「そうだな。肥沃な土地はすでに粗方全て開拓し終わっている状態だったから、独立した国は農業に適してはいなかった。もし鉱石を掘り出せなかったら、交易の仲介と畜産で細々と成り立つ国になっていたハズだ。だから比較的スムーズに独立が成り立ったわけだからな。だからこそその人物は未来が視えているとも評されたのだが……近年の研究では発掘技術の発展を論理的に予測していたのだろうと言われている」
研究なんてされてるのか……まあ、そりゃあそうか。そこまでの功績のある人間なら後世で研究もされるだろうな。




