まず間違いなく揉める
「年月が経てば希望も薄れていく……か。あながち間違いでは無いかもな。国そのものは栄えても世界全体で人類が繁栄するまでにはかなりの年数がかかったのは事実だからな」
「そりゃあ、国がある程度安定してくれば、ほぼ確実に新天地への開拓よりも国の更なる繁栄を優先しようとする心情の変化は起こるだろうからな。わざわざ自国のリソースを割いてまで新天地を開拓しようとまでは思わなくなってくるはずだ」
開拓すると言うのは簡単だが、失敗したら首が締まるのは自分達だ。失うものが何も無いうちは良くても、余裕が出来て失うものが生まれてしまったらもう軽々しく挑戦なんて出来ないだろう。
「まあ、そうかもしれんな」
「開拓事業に失敗して自分達の生活水準が下がりました……なんて事になったら暴動にまで発展しかねないからな。そうなったらもう国は消極的にならざるを得ないわけだ。道理で個人に委託するわけだよ」
個人で新天地を開拓して、それが上手く行ったら国が土地の権利を買い取るという手法を取っているわけだからな。国からしてみたら成功を確認してから金を払えば良いだけの話だから楽な事この上ないだろう。……まあ、いわゆる植民を政策としてではなくビジネスとして展開するというのは中々ぶっ飛んだ発想だとは思うがな。
「国が失敗したら大騒ぎだが、個人事業主が失敗したという話ならどこにでもあるごく普通の話題だからな……これなら支援物資も必要最小限で良い事になる」
まあ、成果報酬型なら、国は待ってるだけで良いわけだからな。一応、それなりの支援物資を送る必要はあるだろうが……それも最悪、上手く行ってる間なら国民からも文句は出ないだろうし、失敗に終わりそうなら所詮はそれまでのものだったと割り切って見捨てる事も出来るだろうからな。
「まあ、国からの目線で考えたらそれで良いんだろうが……実際に開拓している連中からしてみたらそれで納得出来る話でもないよな? どう考えても買い取る土地の値段で揉めるような気がするんだが、そこら辺は大丈夫だったのか?」
土地の価格なんて発展具合でいくらでも変わるだろうからな……事前に決めておいたとしても買い取る際に話し合うとしても、まともに話がまとまるとは思えないが。




