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崩天蛇神の秩序維持  作者: てるてるぼうず
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討伐後の心労

「確かに、魔王を倒したような武器を装備して誰と戦うんだって話ではあるな」

「それに魔王が倒された時点で人類のやるべき事は人類の復興だからな。魔物を退治する時代から変化を遂げるわけだ。そうなれば徐々に戦う必用の無い世界になっていく。魔王討伐後の戦士様の資料が殆ど残っていないのもその影響は大いにあるだろうな」


 ……狡兎死して走狗烹らるって奴か。


「どんなに優れた戦士でも世界が平和なら凡人ってわけか。他の三人は……何かしらの役割をまっとうしたのだろうな」

「強いて言うならば平和の象徴として復興活動に専念していた勇者様が他と比較すれば暇な方と言えるくらいには他の二人は多忙を極めたようだな」

「まあ、いくら魔物の脅威が無くなったとは言っても、壊滅的なダメージを負っているのは変わらないからな……そんな時代の世界の舵取りなんてとてもじゃないが並みの精神力じゃもたないだろうな」


 一歩間違えば復興に失敗して人類絶滅まであり得たハズだからな。


「だろうな。実際、賢者様と騎士様の逸話は魔王討伐後の方が多く残ってるくらいだからな。……まあ、これに関してはそもそも魔王討伐の旅に出ていた期間よりも復興に専念していた期間の方が長いのだから当然とも言えるが……」

「そう単純な話でも無いだろ。逸話が残るって事はそれだけ危機的状況が発生していたって事でもあるんだからな。魔王が討伐された直後は……確かに世界は滅茶苦茶だが、それでも人類には希望の光が見えていた事だろう。ここから先は這い上がるだけだとな。しかし、そんな希望も五年や十年と続いて行けば色褪せていくハズだ。その二人が本当に辛かったのは、そういう時期なんじゃないのか?」


 復興もある程度進めば、安定した地域というものが現れるだろうからな。人間、負けている時はリスクのある行動を正当化しがちだが、逆に勝っている時は守りに入ろうとするのが人情というものだ。これは当然人類復興にも当てはまるハズだ。つまり、自分達がリスクを負ってまで他の土地の開拓をしようとは考えなくなる人々が現れ始めるハズだ。そういった人々を説得しながら復興活動を進めるには、今までとは全くベクトルの異なる才能が必要になってくるだろう。こういった時代の変化に対応するのは決して少なく無いストレスがあっただろうな。

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