復活否定派は多い
「魔王復活を信じている組織は存在するにしても、その組織がまともに物事を判断出来るかどうかは別問題と言うわけか……まあ、その通りだな」
オリヴィエもその点に関しては同意のようだ。
「その組織に対して何らかの対策はすべきではあるが……だからと言ってそいつらの行動が正しいと言うわけではないからな……」
「もっと信ぴょう性のある根拠をもとに行動しているというのであれば、対策の立てようもあるのだが……現状では単なる終末思想の域を出ないものに過ぎないからな……本気で信じている連中の方がどうかしているぞ?」
「まあ、それが一般論だろうな」
「貴様の方はどうなんだ? 私の知らないところで色々と首を突っ込んでいると聞くぞ?」
……クラウディア先輩辺りから聞いたのか? まあ、確かに色々と関わってしまっているのは事実だな。
「魔王復活を本気で信じている組織は間違い無く存在するな。……が、それとはまったくの別問題として魔王復活を目論む連中も存在する。魔界に住んでいる魔物の一部は魔王復活に向けて行動を起こしていると聞く」
「そんな話をどこで……?」
「実際に魔界出身の魔物から話を聞いた事がある。ただし、その魔物は魔王復活には反対のスタンスを持っていたがな」
「魔王の復活には否定的だと……? どういう事だ? 魔物からしてみれば再び人間界を侵略するチャンスだろう」
「その人間界の侵略に対してモチベーションを維持出来ない魔物がいるという事なのだろうな。決して少なく無い数の魔物が魔王の復活をかえって迷惑に思っているらしい。理由は簡単に、魔王討伐後八百年間続いている魔界での勢力争いが振り出しに戻りかねないからだそうだ」
俺はアイスヴァイン領のダンジョンで魔物から聞いた話をオリヴィエに教えた。伝聞に過ぎない話だから情報としての信頼性は皆無に等しい。
「まあ、一応の筋は通っているか……」
「魔王と言う絶対的な支配者がいなくなった事により、群雄割拠の時代が続いているようだ。魔王復活に合わせてそれらの時代の勢力図がリセットされるとなると……反発する連中が多いのにも納得は出来るな」
魔王討伐後に勢力を拡大させていった連中程面白くない話だろうな。そもそも、変な話だが魔王がいなくなった後に魔王よりも強い魔物は生まれなかったのか? そんなのがいたらそれこそ復活反対派が増えそうなものだ。




