いざと言う時の保険
「国が積極的にギルドが儲からないように動いてから資金提供するのか……足元を見れる時に安く買いたたくってだけなら何とも思わんが……意図的ってのは随分とあくどいな」
「ギルドへの対応はあくまでも副産物のようなものだ。本命は自分の国の領土内に資源があるうちに他から資源を輸入しようって部分の方だ」
まあ、そこは当然の話だな。自分のところの資源が無くなってから仕入れようとしたら、どこだって値段を釣り上げるハズだ。どんなに頑張っても結局はその言い値で買うしか選択肢が無くなるのだからな。
「まあ、常にいざとなれば自分のところから資源を取り出せるって選択を取れるってのは重要だろうな」
「ああ。そうでもないと海底から資源を掘り出すなんてリスクの高い真似はそうそう気軽には出来なくなるからな」
「なるほどな……万に一つの時の保険にもなるわけか」
確かにわざわざ高いコストを支払って海底から資源を調達しようとしているのに、その採掘が事故でおじゃんになれば国としては大打撃だな。手に入るハズだった資源が手に入らなかったからといってそれでおしまいになるかと聞かれたらそんな事は無く、資源が手に入るという前提で事業を行っている会社……この世界ではギルドか。その手の連中は他の手段で資源を調達する事を余儀なくされる。当然、資源の価格は高騰するだろう。そうなった時の応急措置として、自国ですぐに資源を掘り出せると言うのはかなり重要だろう。
「保険も無しに危険な真似は出来んからな。と、言うより安全な時以外は危険な賭けには出るべきじゃないって話だが……」
「まあ、危機的状況に陥ってから一発逆転狙いの賭けに出るって話は良く聞くが、普通に考えたらやるべきじゃないし、ましてや組織とかのレベルになってきたらそもそも危機的状況に陥らないように努力しろって話だからな」
学生がテスト勉強忘れて山を張ってテストを受けるようなものだからな……普段から勉強しとけってのが正論だし、塾とか学校とかの組織の立場からしてみたら山を張れだとかバレないようにカンニングをしろなんて事を推奨出来るわけがないからな。




