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崩天蛇神の秩序維持  作者: てるてるぼうず
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皮肉な話

「つまり……空気中に魔力が含まれてるんだから雨に魔力が含まれていない場合があるのはおかしいって気が付いた奴が大昔にいたという事か……」

「そういう事だな」


 哲学者みたいな奴もいたようだな……それも何千年も昔って事は魔王が襲撃を仕掛けるよりもさらに千年以上昔って事か。


「とんでもなく頭の良い奴がいたんだな」

「ああ。この疑問は当時としては結構話題になったらしく、様々な有識者が仮説を立てては他の有識者がその仮説の矛盾を指摘するという……ある種の流行りが出来たらしい」

「随分と暇だったようだな……大昔の知識人と言うのは」

「人類史上で見てもかなり安定していたとされる時代だからな。もっとも、当時から見て数千年後の未来で発見される微生物の存在を言い当てた知識人達ですら魔王軍の侵略は予想出来なかったというのは皮肉な話だがな」


 まあ、言ってみれば外界からの干渉だからな。雨の話に関しては自分にとって身近な出来事に対する疑問だから考える事が出来てもおかしくはないが、認識不可能なエリアからの干渉というか、本当に存在するのかどうかも怪しい空間なんて想定のしようが無いからな。


「まあ、それを言い当てるにはまず最低でも魔物を発見している必要があるからな。そしてその魔物が多く生息する魔界と言うテリトリーに、そのテリトリーを支配する魔王と言う存在……根拠も無しに言い当てる事は不可能だろう」

「当時から魔物はすでに発見されているし、魔物が多く潜む領域があるのだろうとは考えられていたのは事実だな。ただし、魔界と言う場所が存在していたと考えているよりは、例えば山の頂上付近だとか、海の奥深くだとかの当時の人類が到達出来ていないような場所が魔物の住処だと考えているのが主流だったようだがな」


 まあ、そんなところだろうな。誰だってわからない場所にはわからない何かが存在するだろうと考えてしまうものだ。かつて人々が山の頂上には、雲の上には神がいると考えたようにな。そして、それらの夢は実際にその場所に人類が辿り着いた事で夢だとわかってしまうわけだ。山の頂上や雲の上には神など存在せず、山の頂上にはその山特有の生態系が作られているだけであり、雲はただの水分やチリやホコリの集合体だと判明するだけだ。

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