激動の時代
「そんな事やってて良く国として保てたな……? 普通に考えたら内乱でも発生して散り散りバラバラになりそうなものだが……」
「あー……いや、国の歴史は長い。王族と貴族の間でも色々とその手の紛争はあるぞ。そもそもの話、魔王軍と戦ってた時の我が国の王家と現在の王家は別の血筋だからな」
「なに? 簒奪でもされたのか?」
確かに王族だからって何百年も歴史があるかと言われたらそんな事は無いだろう。魔王軍との戦いが八百年程前と考えると……なるほど、君主が変わっていてもおかしくはない。
「簒奪……もあったし、色々だな。革命だってあったぞ。王政復古されたが」
「王政復古って……まあ、今現在に王様が君臨しているんだから復古されているのだろうが……」
一時的にでも共和制か民主制になった事があったのかよ。
「因みにだが、あの国で王朝が滅んだのは一つや二つじゃないぞ。私も全ては覚えていないが……」
「なんだと? そんな、戦国時代みたいな時期があったのか?」
「……その時代がどんなものなのかは知らんが、様々な国の王達が争っていた時代がある。……ああ、まだ歴史の授業で習っていないから貴様は知らないと思うが、あの国は昔からあのような国土を持っていたわけではなくてな。五十年ほど前の戦争で割譲されて最終的にあの領土になっているわけだ」
「ん? ……ああ、そうか。開拓しまくって領土を広げていったんだから魔王軍との戦いの集結の後の領土と現在の領土が同じなわけが無いな」
言われてみたらその通りだ。当時は人類が壊滅一歩手前みたいな状態だったのだから国だって今現在とは面積からして全く異なるものだった事だろう。
「ああ。さらに言うと、当時としては小さい国が世界全体に大量に乱立していた。宗主国だとか帝国だとかが存在するのもそういったものの名残だ」
「まあ、宗主国にしても帝国にしても、支配する国と支配される国がそれぞれ存在している事になるからな」
従属国が存在する事が前提の国って事になるからな。と言う事は、魔王軍との戦いの後の八百年の間には、度重なる侵略戦争が勃発しまくってたって事になるな。
「私の国も御多分に漏れず、多くの国が乱立していた。それらが様々な理由で減っていき、一つに国になっていったわけだ。確か一つになったのが四百年くらい昔で、その後も色々あって、今の王家になってから二百年くらいのハズだぞ」
最初の統一から今の王族の間に革命と王政復古が発生してるって事じゃねえか。しかも言い方からして、復古した時の王家と今の王家は別の血筋って事になるから、二百年の間にかなりの回数は王朝が変化しているみたいだな。要はとんでもない激動の時代があったって事か。




