四大貴族出現の原因
「数十年間魔物や賊からの襲撃も無く使用する事が出来た結果だと考えれば、保管して展示する価値というのもあるだろうな」
「まあ、領地だけでなく国やら何やらの発展にも貢献したからな」
俺の言葉にオリヴィエも頷いて見せる。
「なるほどな。……なあ、最初は二つの国の間で人類の復興が始まったんだよな?」
「ああ。それがどうかしたのか?」
「その後はこの国の賢者やその弟子達が人類の新天地を作って、交易をするようになって行ったわけだ」
「その通りだな」
「その後はお前んとの国と交易を始めた事になるハズだが……その時には何かあったのか? 人類への貢献とか、そういうのは」
とりあえず大国の話を聞いていると、全てが何かしらの形で人類の復興に貢献しているようだった。
「強いて言えば周辺地域に恩恵があったぞ」
「それはどこの国だって同じ事だろ? もっと直接関わったというか、あの国と交易を始めた事で世界は良くなったとか、そういうのは無いのか?」
「その手の話はあまり聞かんな。一応、未開の土地に国民を植民させて、ある程度発展させた後で土地の権利を国に買い取って貰う事で巨万の富を得た者もいるが……」
「……その家の一つがお前のところってオチじゃないだろうな?」
何せ王様以上の金持ちだって話だからな……シンプルに国から多額の金を回収してパワーバランスを崩壊させたって可能性は大いにありえる。
「そういう面もあるが、他にも私の家が買い取った土地というのも多いぞ」
「……おい、ちょっと待て。土地の権利を買い取ったのは国だったんじゃなかったのか? 何でお前の家が土地の権利を買い取れるんだ? お前の家って別に王族と関係無かっただろ?」
何で国の権利を公爵とは言え個人が行使できるんだ?
「ああ。それは……あまり堂々と人に話す内容でも無いのだが……魔王軍からの被害の少ない国で後に大国と呼ばれるにまでなる国家と言えども、当時としては宗主国から見れば巨大山脈の向こう側にある地方国家にしか過ぎなかったからな。土地の権利を金で買い取るという取り決めをしたのは良いが、当時の国にそのような財政的余裕は無かったわけだ。そこで国内の貴族にも土地を買い取る権利を与えて開拓を進めていったという背景がある」
「まさか、お前んとこの四大貴族なんてのが出来上がった原因ってのは……」
「まあ、これが原因だと言われてるな。そもそも土地を買い取れるだけの財力が既にあったとも言えるが……それでも合法的に土地を入手出来るというのは絶大な影響力を与えたわけだ」
金の力で領地を増やす事が出来たのかよ……それで増やした土地で経済が発展すればさらに利益を出す事が出来るわけだから、上手く行けばさらなる金持ちになれるわけだ。そりゃあ、王様以上の金持ち貴族が四つも出てくるわけだ。




