最初は二つの国から
「交易ルート上にある国も発展していったと考えると、開拓されなかった場合のこの世界は想像もつかないな」
「確かに道が一本無くなると考えると、歴史は大きく変わるだろうな」
「ん? 交易ルートは一本しか存在しないのか? 他の三つの国とそれぞれ繋がっているんだろ?」
四つの国がそれぞれとの交易を行うためのルートが存在するとしたら、一つの国から三本の大きいルートが存在している事になるハズだが……?
「ん? ああ……今現在でこそ大量のルートは存在するが、昔は一本しか存在しない時代もあったぞ。そこから長い年月をかけてもう一本増えて大国と称されるようになったわけだ」
「四大国なのにルートは二つしかないのか?」
「ああ。正確には三本あるとも言えるのだが……途中で合流しているからな。歴史上最初に出来た交易ルートがそれになる」
「そうだったのか。なら、その合流地点は相当繁栄しただろうな」
最初は一本の道から始まったのか。まあ、それもそうか。交易ルートを同時に何本も開通なんて真似はかなり計画的に話を進める必要があるからな。これから世界を復興させましょうって段階でやれる事では無いな。
「まあ、当然の事だな」
「普通に考えたら、その中継地点が四つ目の大国になりそうなものだが……」
「あー……いや、順番で言えば私の国が一番最後に繋がった。歴史的には魔王の討伐後に人類は再出発を果たすわけだが、その際に勇者様の本拠地となる宗主国と騎士様のいる国が強い結びつきを維持しながら世界を復興させていったのだ。……で、その後でこの国が急速に発展していって交易が盛んになり、技術力やら安全の確保やらで私の国との交易ルートが確立されていったわけだ」
なるほど、交易ルートを結んで発展していったというよりは、それぞれの国が発展していった結果、交易ルートを結べるようになってさらに発展が加速していったのか。
「最初は二つの国で貿易をやりあっていたのか……まあ、それまでの人類社会が壊滅一歩手前ってレベルで疲弊してんだからそうならざるをえないのか」
「そういう意味では、最初の二つの国が距離的にはそこまで離れていなかったというのが大きいな。もしも離れていたら復興は何十年と言うレベルで遅延……いや、違うな。そもそも魔王軍相手に勝てていたかどうかも怪しくなってしまうのか」
……正直な話、地政学的な分野は皆目見当が付かないから何とも言えんな。




