恩恵は大きい
「風霊祭はただの数合わせかよ……」
「仕方あるまい。人間と言うのは何かとこじつけが好きなものだからな」
「何を根拠にまとめられたかわからない三大大会よりも、伝説の勇者様御一行になぞらえた四大大会の方が認知されやすいって事か」
いわゆる、箔が付くってやつか。三人だけいて一人だけいないんじゃ収まりが悪いからな……デカい規模の行事があったからこれ幸いにと取り込んだのだろう。
「そういう事だな。実際のところ、四大大会としてまとめられた事による恩恵は大きいとされている。規模はより大きくなったし、何より世界中から人が集まってくる。観光業は大きく発展したハズだぞ」
「そんなに変わったのか?」
「ああ。地霊祭に関して言えば極論、国内で完結する催し物だからな。そこに周辺国家が関わってくる事もあるにはあるが……世界中から人が集まるようになったのは、四大大会と呼ばれるようになってからだ。勿論、風霊祭は言うに及ばない」
四大大会という名前の認知度が世界的に広がった結果、世界中から人が集まるようになっていったのか。
「国別で考えても年に一回。それぞれの大会に観戦しに行くと考えたら年に四回もの大移動が行われるわけだな。それを毎年実現するとなると、四つの国を結ぶ巨大な交易ルートが必要になるな」
「それが最大の恩恵だ。四つの国を中心に人やモノが行き来して、それぞれの国は繁栄したという側面はあるし、そのルート上に存在する小国も繁栄している」
まあ、デカくて安全な道が開通しらなら、みんなその道を通るだろうからな。その道を中心に交易がお行われる以上、目的地であるその四つの国が大国として発展するのは必然と言えるだろう。
「四大大会ってのが、いったいいつから成立したのかは知らないが、元々は魔物との戦いによって世界中が疲弊していたんだろ? 交易ルートの開拓は必須だったのだろうな。そういう意味じゃ、その中の一つになれたのは行幸だっただろうな」
「それはその通りだな。我が国は魔物からの被害は比較的少なく済んだとされている地域だったが、交易が盛んになったおかげで大国にのし上がったという点は確実にある。もしも交易ルートが開拓されなかったとしたら……今ほどの発展はしていなかっただろうな」
交易ルート上の小国も恩恵があると考えれば、開拓がなされなかった場合、そもそも存在していない国だってあってもおかしくは無さそうだな。




