本人は関係無い
「つまり……仮に四大大会を他の国でも開催出来るようになったとしても、それが上手く行く可能性は低いって事か……」
「失敗に終わる可能性も考慮に入れて開催されるだろうな」
失敗する可能性が高いとわかった上で実行に移すかと言われたら……やらないだろうな。
「道理で下火になるわけだよ……」
「まあ、挑戦するにしても確かな勝算は欲しいだろうな。そして幸か不幸か、そこまでの影響力のある出来事は発生してはいないし、カリスマ的人物も誕生していない」
「利益を出せると判断出来る大会が現状、火霊祭しかないわけだからな。風霊祭は……利益とか出せるのかあれは?」
「出せるのは出せるな。競技内容も限られた空間内で戦わせるだけだから、場所を選ばないという特徴もある。恐らくだが、四大大会の中では最もその国で開催する意義が薄い大会ではあるな。……まあ、そんな大会が何故独占的に開催出来るのかと言うと、伝説の勇者様御一行の一人が最後に向かった……正確には、確認出来る範囲で最後に向かった国だから……というのが根拠なだけだがな。要は言ったもの勝ちだ」
それで他の国からも文句が出ないまま長年経過して四大大会に数えられるようになったってわけか。
「周辺国から文句は出なかったのか?」
「何百年も昔の話だ。当時は文句を言う余裕などなかっただろう。そもそも四大大会という括りが出来る前の話な上に、伝説の勇者様御一行の誰とも直接的な関わりの無い行事だったからな。根本的に文句を言われる筋合いが無い」
「そういえば本人は関係無いのか……他は関係あるのか?」
「ある。火霊祭は賢者様の後継者探しが始まりとされているし、地霊祭は騎士様の結婚を祝う催し物として行われたのが始まりだとされている。水霊祭は勇者様から魔物と戦う術を学ぶための演習が元になっていると言われているからな……本人が関わっていないのは風霊祭だけだ」
そう言われると風霊祭を開催する国が一つしか無いってのは変な話に聞こえるな。
「風霊祭だけ何か浮いてないか? その大会をやる重要性や必要性というか……」
「それは……四大大会という呼称それ自体が後になって生まれたものだからな……正直、数合わせと言う部分も否定しきれないところはある」
四つの特徴的な大会の総称じゃなく、四大大会という名前で呼ぶために風霊祭を無理矢理含めるようにしたってのが正しそうだな。




