対応策は無い
「人気がその大きいホテルに集中してしまった結果、多少距離があってもそのホテルに泊まろうとする客は増えるだろうな。そう考えると、その付近のホテルはとてもじゃないが太刀打ちなんて出来るわけが無いな」
「その通りだな。大きいホテルが立ち並んでいる結果、一般的な日の利用客はほぼ完全に余裕を持って泊める事が出来るわけだ。……他のホテルに客が訪れるチャンスは、火霊祭のような大勢の客が集まるような日に限られるのだが……その日に最も大きい恩恵を受けられるのは、その大きなホテルに限られてしまうわけだ」
完全に一部のホテルだけが得をしている状態が続いているようだな。
「火霊祭の日は選手が泊まってくれて、それ以外の日は選手が泊まったホテルとして客が押し寄せて来るわけか。良くそんな状態が許されてるな」
「これも良く批判の的にされるな。しかし、対応策が存在しないのも事実だ。まさか遠くのホテルをわざわざ利用させるわけにもいかないからな……かと言って、近くの小さなホテルを利用させようとして、安全管理等の問題が発生したら目も当てられない上に、ホテルの質に差が生じれば別の問題に発展しかねない。どうしたって部屋数の多いホテルを使うしかなくなるぞ?」
あちらを立てればこちらが立たずって感じだな。問題が生じるのが目に見えている以上、批判を受けるのは承知の上でホテルを使い続けるしかないわけか。
「……そもそも大会の開催地を毎年同じにするのが問題なんじゃないのか?」
「毎年変更しろと言うのか? 会場を設置するのにどれだけの費用がかかると思ってる? それをわざわざ別の場所の別の建物でやったら、それこそ費用がどれだけ膨れ上がるかわかったものではないぞ?」
確かに……毎年毎年別の場所で大会を開いたらそれはそれで数えきれない程の問題が発生しまくるだろうな。ホテルの時点で悪い噂が流れてるんだから、当然開催地だって悪い噂が流れるだろうし、単純に毎年違う場所で大会を開けば交通整理だの事前に話を通しておかなければいけない役所とかの事務仕事にも間違いが発生しやすくなってしまうな。
「毎年毎年違う場所で大会なんて開いたら、運営のマニュアル化なんて夢のまた夢だな……」
大会が終わったら後処理をして、それが終わったら今度は来年の大会の準備に追いやられる事になるだろう。毎日毎日そんな事をやっていたら……確かに予算なんていくらっても足りなくなるな。




