可能性は高い
「俺達がいるからという理由で一人は何とかなるとして、残りの二人は……まあ、似たような奴は他の国にもいるか」
実際のところ、必ず戦わせる必要があるってわけでもないんだ。ワンチャン勝負になるかもしれないって奴を審査官として呼び寄せるだけなら、何とかなるだろうな。
「ああ。そこに関しては問題無いな。かなりの実力者が集まっていたように思える」
「なら、俺達が優勝経験者を相手しない可能性もあるにはあるって事か。……まあ、大国の数から考えれば被る確率の方が高そうだが」
「四大大会の開催国に帝国を含めて五つだからな……そこから引っ張って来た審査官のいるグループに優勝経験者三名を割り振ると考えると、かなりの確率で同じグループに入る事が考えられるな」
確率としては相当な高さだな。
「同じ国同士での被りも無いと考えると、優勝者三名の誰とも出身国が被らないのはうってつけかもな」
「そうだな。ならば過去の優勝者と同じグループで戦う事になる事を前提に作戦を立てるべきという事になるのだが……積極的に戦闘に参加しないという前提で考えるしかなさそうだな」
オリヴィエは一瞬何かを考えるように黙る。その後、優勝経験者の行動の前提を告げる。
「まあ、そんな選手に積極的に動かれたらこっちの作戦とかほぼ意味をなさないだろうからな。体力温存を優先するように動いてもらわんと荒らされて終わるな」
俺達が敵を見つけて倒すより早くそれをやられたら、俺達審査官が頑張る意味はかなり薄れてしまうからな。しかし、その可能性は低いハズだ。大会はその後も続くわけだからな。そのため最低限度しか動かないハズだ。つまりその選手の行動に合わせてこちらも作戦を変えていく必要があるわけだな。
「まあ、競技結果がその後の競技に影響を出さないのであれば、温存を優先するだろうな。逆にここで多くの選手を倒す事が優勝を狙うのに有利だとしたら……一方的な狩りが始まるだろうな」
「ポイントの奪い合いが行われて、かつその奪ったポイントが以降の競技にも適用されるのだとしたら……五百人いる段階で稼ぎまくった方が良いだろうな」
ポーカーの大会みたいに持っているチップが多い奴が優勝ってシステムだとすると、いかに雑魚から巻き上げるかが重要になって来るからな。しかし、そうなると敗退した選手の最下層の保有ポイントが一律ゼロになりかねない。これでは順位付けが出来なくなってしまうから、やはり上位層は積極的に動かさないようなルール設定になりそうだな。




