質を取るか量を取るか
「桁違いの値段か……まあ、そういう事になるだろうな」
「そんな事を話している場合じゃ無いだろう。今はどれだけ上の順位の選手を倒せるか、あるいはどれだけの多くの選手を倒せるかを考えるべきだ」
「質を取るか量を取るか……スケジュールの進行を考えれば量を考えるべきだが、他の選手への援護や会場の盛り上がりを考えたら質を取るべきだな」
本来は質と量を両立させることが望ましいのだが、話し合いの段階で言うべき事ではないな。
「そこは当初の話通り質を取る方向性で良いだろう。問題なのは競技開始時点で私達審査官もバラバラに行動するのか、それともまとまって行動出来るのかだ。……もっとも、まとまって行動しないと競技開始して数秒でトップ層の選手に位置を捕捉されて襲撃されかねないからまとまって行動出来るとは思うが」
「バラバラで行動した結果、各個撃破されましたじゃ何のために呼び出したのかわかったものじゃないからな。……万に一つバラバラで開始したとして、すぐに集まれるように通信装置のような物は用意出来ないか? 最悪狼煙でも良いが……」
「持ち込みが許されるなら可能だが……明日の説明で許可されるかどうかだな」
流石に審査官をそこまで不利な状況に追い込む意味も無いし、あまり心配する必要もないか。
「そこはルール次第か。基本的な戦術は罠を仕掛けて待ち伏せ。敵が近くを通ったら襲撃を仕掛けるってところで良いか。……相手によっては俺達が相手の存在に気が付く前に向こうがこっちの存在に先に気が付く可能性が高いってのが厄介だがな」
俺達が標的にするトップ層はまさにそんな芸当が出来るような連中だと考えられるから、とてもじゃ無いが油断はできないな。




