最も優れた魔術師を決める大会
「……まあ、ある程度上の順位の選手は倒せるだろうな。全員が全員戦闘能力に優れているというわけでもないしな」
「戦闘能力が優れていなくても上位に入れるのか?」
「ああ。それ以外にも競技はあるわけだからな」
「いや、そういう意味ではなくて、上位に行くまでに戦闘能力がものを言う競技に当たらないって事があるのか?」
火霊祭がどのような競技を経て人数を減らして行くのかはわからないが、それでもどこかで一定水準に満たない魔術師は足切りされるハズだと思うが。
「ああ、そういう意味か。結論を言えば、今年の大会と同じパターンでさえなければ何とかなる可能性が高いぞ」
「今年って事は……上位百人を戦いで決めるパターンか……」
つまり、それより前の段階で戦闘能力を測る場合は何とか突破出来るって理屈か。
「ああ。それより前の段階でなら、戦闘能力に優れていなくても通過する事は十分狙える。優れていないと言っても、あくまでも他の資質と比較してという意味だがな」
「なるほどな。まあ、余程の虚弱体質か何かでもない限りは最低限度の戦闘能力は保有しているだろうな」
むしろ身体能力抜きに考えて大会で上位に行ける程の実力があるのであれば、魔術師としての才能は間違いなくあるわけだからな。最低水準の体力さえあればそこそこの順位までは行けるか。……逆に言えば、その最低限度の体力すら持って無い奴ならそもそも国内予選の段階で弾かれるだろうから問題は無さそうだな。
「その通りだ。そして、その最低限度の実力では勝ち上がるのは難しいであろう狭き門が上位百人という括りだ。流石にこのレベルの生き残り戦ともなると、競技の内容と自身の才能の資質とが噛み合っていなければ勝ち残るのは難しくなってくるようだ」
「専門家だけが勝ち上がれる大会か……いや、違うな。その後はまた別の才能が無ければ脱落するだけの競技が始まるのだとすれば、優勝出来るのは専門家ではなく、専門家並みの実力を複数の分野で持った実力者というわけか」
「ああ。ごく一部の例外を除けば、まさにあらゆる分野で万能と言えるような魔術師が優勝する大会だ。何せ最も優れた魔術師を決める大会だからな」
「その『最も優れた』の定義が万能ってわけか。一部の例外を除けば」
その例外ってのは一芸特化タイプの魔術師だろう。逆にどれくらい特化していれば優勝出来るのか知りたいくらいだ。




