操作を疑われてはいけない
「一番わかりやすいのは五つのグループに分けるパターンだが……それ以上に分ける事もあり得るか……?」
「まあ、あり得るだろうな。私達最大人数のグループを一つにまとめて、そこに被らないように選手を割り振れば良いのだから……十のグループに分ける事も十分考えられる。勿論、それ以上でもな」
確かに、同じ国での被りを無くす一番確実な方法はグループをより多く分けてしまう事だからな。極論、審査官一人に選手五人でグループ分けしてしまうのが被りの可能性は低いだろう。……まあ、この場合だと、百に分けられたそれぞれのグループでの各選手の評価点をどうやって客観的に採点するのかという問題にぶち当たる事になるが。
「あまり細かく分け過ぎると、今度はどうやって全体の順位付けを正確に決定するかという問題が発生するな。……一応、五人ごとに分けられたグループの中の一位を通過とする事で人数的な辻褄は合うのだが……」
「その五人組の中に優勝候補が複数人いたとしたら、強制的に潰し合いが発生するな」
「間違いなく運営の操作が疑われるだろうな。優勝候補同士が被る確率なんてそう高いものでもないだろうからな」
「かと言って、全く被りが発生しないというのもわざとらしいな?」
「それはそれで操作を疑われかねないな」
どっちに転んでも疑惑の目を向けられるわけだ。そのため審査官が一人しかいないグループは成立しない。審査官が一つのグループに二人以上いる事が確定するなら、グループ分けの最大値は五十以下になる事がわかるな。
「どっちにせよ疑われるわけか。そもそもの話、私達審査官と選手で国の被りが起きないように組み分けの調整がなされている以上、最低限度の操作が行われているのは確定しているわけだからな。完全にランダムと言い張れば逆に墓穴を掘る事にになるのか」
「最も厄介な点がそこだな。グループ分けの決定は無作為などでは無く、作為的に行われている事はわかり切っているからには上位者同士が同じグループに入る事がほぼ確実な数で分ける必要があるわけだ。グループ数五十に対して選手の数は十……これなら各グループの上位二名が勝ち上がりになるが……」
「上位者が二人いるグループと三人いるグループとでの格差が尋常じゃないな。それに確率的にはグループ内に上位者が一人以内という可能性だってあるわけだから、グループ間格差は私達の想像以上に深刻な問題になるぞ?」
……グループの最大値が五十というのも訂正が必要だな。審査官の数はどのグループでも同じ人数配置したい事を考えると、グループ数は最大でも二十五個までに絞り込めるか?




