長距離攻撃持ちは有利
「俺達が最初に取るべき行動は目的地への移動で良いとしてだ。問題はそこへ辿り着くまでの道中で他の選手と接触する可能性がある事だ。極論を言えば競技開始と同時に一方的に発見されてそのまま攻撃を浴びる可能性も十分考えられる」
俺は競技を行う上で最も警戒すべき状況を話す。一応、確率の上では優勝候補と戦闘になる可能性もあるのだから一方的に攻撃を受ける事も考えられるわけだ。と、言ってもそんな状況になったらどうしようもないのだが。
「まあ、競技開始の際の配置次第では十分あり得る事だな。トップクラスの魔術師ならば国立公園全域が索敵魔法の範囲に収まっていたとしても不思議は無い」
「そんなに広範囲の敵味方を区別出来るものなのか?」
「理論上はな。だが、索敵魔法の発動の際の魔力を読み取られて逆に自分の位置を特定される危険性があるからそう気軽には使えないハズだ。……二位以下の魔術師ならばな」
「一位なら気兼ね無く出来るってわけか」
「完全にノーリスクというわけではないがな。ある程度は実力に差が無いと一方的な特定は出来ないし、それに索敵範囲がどんなに広くても、広いだけでは逃げにしか使えんしな」
確かに……偶然敵が近くにいたりだとかの事を考えたらそこまで万能ってわけでも無さそうだ。それに、いくら遠くにいる敵の位置を捕捉出来たとしても、攻撃するためのリーチが短ければその分敵に近寄るしかない。それはつまり、敵の攻撃のリーチ内に入る危険性が増す事を意味する。上手く不意打ちが出来れば良いのだが……自分から敵の間合いに潜り込む必要があるのが厄介だ。広範囲の索敵に加えて、その範囲にまで届く長距離の射程があれば申し分ない。例えて言えばオリヴィエの魔法の及ぼす範囲を強化したような魔術師だ。
「逃げに使えるだけマシとも言えるがな。索敵と長距離攻撃の手段を持っている者がかなり有利になるだろうな」




