考慮しなくていい事
「ああ。俺達同士の戦いまで含めたらとてもじゃないが全体を把握する事が出来なくなる。普通に考えて参加人数が多過ぎるわけだ。不確定要素は少しでも減らしたいハズだから……俺達審査官は基本的に協力し合える立ち位置になるハズだな」
可能な限りルールは単純に……より正確な表現を用いるなら、順位の決定方法はより明確である事が望ましい。何せ戦闘能力に関してはともかく、審査官としては完全な素人を呼び込んでいるのだからな。俺達の心象や主観で選手の順位に影響を及ぼすような曖昧なルールだと問題になりかねない。
「……まあ、審査官同士の戦いは必用無いと考えて良いんじゃないか? そんなもの見せられても観客は困惑するだけだろうしな。そして、審査官を真っ当に戦わせるなら、審査官まで選手達と同じ条件で戦わせる意味は無い。やはり、私達までランダムに配置させられるという事は無いと思うぞ?」
確かに……そんなところで平等な扱いをされてもかえってこっちが迷惑だ。そもそも俺達審査官と選手達とでは背負っているものからして違う。リスクもリターンも俺達の方が明らかに軽いのだから、多少は融通を聞かせてくれるだろう。
「それなら、どこにどうやって合流するかという事は考えなくても良さそうだな……」
「そんな事を考えていたら考慮すべきパターンが多過ぎてそれだけで朝になりそうだしな」
ならば、競技開始直後から審査官は合流出来ていると考えるとして、やはり問題になるのはどこに身を隠しながらどのように行動するかだな。
「競技開始直後から俺達が共に行動出来ると仮定して、まず最初にどこを目指すかだな。これは開始地点から考えれば良いか」
「ああ。私達が有利に戦える場所をある程度ピックアップして覚えておいて、開始した場所から最適な場所を選んで行動すれば問題無いだろう」




