関係無い奴には関係ない
「時間差で順次審査官を追加投入していくパターンか……無い話じゃないな」
別に最初から参加させなきゃいけないって理由があるわけでも無いんだし、ある程度時間が経ってから参加しても構わないわけだ。いや、むしろ戦況を確認してから行動に移れる分だけそっちの方が俺達にとって有利に働くと言っても良い。
「その理屈で言えば、逆に競技の開始より早く配置に着く可能性もあるぞ」
今度はオリヴィエが指摘して来た。
「確かに……俺達審査官が選手達と対等に競技に参加する必要性は無いわけだから……俺達が有利な条件で戦ったとしてもおかしくは無いな」
「ああ。変に対等な条件に拘ってあっけなく倒されてたらわざわざ雇った意味が無いからな。それに私達が選手を倒したとしても特にメリットがあるわけでも無いのだから……まあ、何かしらの報酬はあるとは思うが……それが特定の選手に不利に働くというものでは無いだろうから、周囲からの反発も少ないハズだ」
「報酬? そんな話あったか?」
俺の記憶では俺達審査官が大会参加者を倒しても特にボーナスが貰えるとかそういった話は出て来なかったように思うが。
「いや、報酬の話は出ていない。……が、大会運営の要求にある程度以上応えれば、何かしらの追加報酬が貰えるハズだ。でないとモチベーションが保てないからな」
「まあ、妥当な話だな。選手達だって勝ち残るために必死になって戦うだろうから、俺達審査官に対して手加減なんて真似は出来ないハズだ。選手達が大けがを負うかもしれないって競技に、審査官が無事に競技を終えられる保証なんてものはどこにもないんだから……こっちとしても危険を冒すだけの何かが無いと終盤で手を抜く可能性は出て来るな」
考えてみれば当然の話だな。上位選手が脱落する事で他の選手が勝ち上がれるチャンスが増えると言われても、関係無い奴からしてみたら本当にどうでも良い話でしかないのだからな。




