崩天蛇神の秩序維持

ギリギリのライン

「つまり……ギリギリ百位以内に入れるような選手は百名近くいて、その百人が残った僅かな空席を巡って奪い合いをするってのが見どころってわけか」

　全力を出さなくても安定して競技を突破出来るような選手なら、わざわざ全力なんて出さずに余力を残しながら戦って体力を温存しながら突破するだろうからな。本当に全力で百位以内に入るべく全力で戦うのは、そういったボーダーラインギリギリの選手達か。

「ああ。基本的に百位以内に入る事が確定した選手はそれ以上は行動を起こさずに魔力の回復に努める事が殆どだからな。最後の瞬間まで突破出来るのかどうかわからずに全力で戦う選手達の方が会場は盛り上がるだろう」

「百位以内になるのが確定って……そんなの、選手達が把握出来るものなのか？」

「正直難しいだろうな。だが、ルールによっては自分の順位というものをある程度推測する事だって可能になるハズだ」

「そりゃあ、最後まで生き残った百人が合格って言うなら、残りの人数やそういった部分で自分が置かれている状況ってのは推測出来るだろうな」

　要するに今現在生き残っている選手達の中で自分がどのあたりの立ち位置にいるのかを推測するわけだ。突破が容易に可能なレベルで上なら、わざわざ無理りをして戦う必要も無かっただろうな。

「ああ。自分一人でどれだけのライバルを倒して行ったのか、それともあるいは逃げる事に成功したのかで自分の立ち位置と言うものがわかるのだろう」

「それで自分一人でライバルを倒せるなら実力は上澄みだ。逆に逃げてばかりでは合格するか落ちるのかどうか、とたんにわからなくなってしまうわけだ」

　まあ、ひたすら逃げに徹してきた選手だっているとは思うが……負けるのを恐れて戦いを避けていたら、それこそ終盤でギリギリの勝負をする事になるだろうな。