どれだけ積極的に動くのか
「肝心のルールがまだわからないのに特定の優勝候補の優勝を妨害しろなんて無理難題と思いがちだが……それはあくまでも本当に自分の力で優勝を阻止する場合の話だ。現実的に考えればそこまで明確な結果を求めてくる事は無いだろうな」
「……まあ、実際には起こらなかったたらればを話しても意味は無いな。今考えるべきは明日の競技でどう戦うかだ」
俺は再びテーブルの上に地図を広げる。広いフィールドの中で戦うと予想するならば、どこで戦うかを決めるのはかなり重要だ。
「ああ。そうだな。風霊祭のように狭いフィールドで戦う可能性は……考慮しても意味は無さそうだな。その場合は全力で戦う以外の戦法が無い」
「ああ。だから考えるべきは広いフィールドで戦う事だ。それでもどれくらいの広さで戦い、どの辺りで戦うかもわからんから、色々と決める事が……いや、それ以前に、そもそもの戦術も考えないとな。罠を張って待ち伏せするのか、身を隠しながら敵を探して戦闘を仕掛けるのか……それともフィールドを移動してターゲットを探すのか? 自分からどれだけ積極的に動くかだけでもかなり変わって来るな」
一番リスクが低いのは罠を張って待ち伏せだ。地の利はあるし、攻撃するタイミングもこちらである程度操作出来る。……が、その分リターンも少ないだろうな。そもそもの話、敵が仮に偶然だったとしても近寄らなかったら誰も倒せない状態で競技が終わりかねない。それに罠を仕掛けている時に接敵したら逆に不利になるし……可能性としてはそこまで高くないが、こちらの存在に気が付いた高名な魔術師が周辺の地形もろとも一気に吹き飛ばしにかかる可能性もある。
「罠を張って待つか……時間さえあればそれで良いのだろうが……」
「その時間が無い可能性は高いな」
「ならば、罠を張った場所に誘き寄せるというのはどうだ? それなら時間が無いという問題を解決出来るぞ」
「囮か……悪くない案だが、それには疑似餌が必要になるな。敵に倒されない生存能力は勿論の事、逃げ切る機動力も必要になって来るぞ。俺がその囮になるとして……お前はどっちにする? 待ち伏せする側か誘き寄せる側か」
俺はオリヴィエに質問した。正直、オリヴィエの場合どちらでもありだ。敵を狙った場所に誘導出来るだけの機動力は持っているし、転送魔法でアイテムを持ち込めると考えれば罠だって多く設置出来る。問題があるとすれば、オリヴィエが罠を仕掛けるのが上手いのか下手なのかってところだけだな。




