三食全てステーキは難しい
「……仮に明日も明後日もステーキを注文し続けたら……」
「かなりの金額に膨れ上がるな。今回集められた審査官が百人前後、一日三食を全てステーキを注文するとしたら……いや、それ以前に一日三食すらもあてにならないか。これくらいの量なら一食で二人前三人前を食べる者がいてもおかしくはない」
オリヴィエの言葉通りなら、このホテルでの経費は相当なブレ幅が生まれる事になるだろうな。
「一日三食って言うけど、明日のお昼をホテルで食べる事になるよ?」
「……ただならホテルに戻って食べる奴もいるか?」
「いてもおかしくは無いが……いや、確か明日の競技の詳細なルールの説明がなされた時点で外界への接触が禁じられるから外出は出来なくなるな。昼食は運営が提供するものを食べる事になるぞ」
確か……一度火霊祭が開催される会場に集まって、そこでルール説明を受けるんだったな。そこからは外出も禁止で外部との連絡も禁止だ。
「外部との連絡を行う手段の一切が出来なくなるんだったな?」
「ああ。完全に不可能というわけではないのだろうが……禁止されているし、万に一つ外部との連絡を取り合い、そしてそれが発覚するような事になれば、相当厳重な罰が与えられる事になるだろうな」
まあ、そんな事を認めれば、全員が情報をばら撒く事になるだろうからな。
「運営だって、俺達が選手より早く知り得た競技に関する情報を外部に漏らすとは思っていないだろう。監視の目は最小限で、やろうと思えば外部と連絡を取り合う方法はいくらでもあるか」
「まあ、空間魔法が扱える者からしてみたら、あって無いに等しい制限だからな。それこそルールの詳細が書かれた物が存在するのであれば、それをどこか別の場所へ移動させる事も可能だしな」
運営もそこまで本気で外界との接触を疑っているわけじゃないだろうからな。と言うか、本当にそれを疑っているのであれば、そもそも審査官として不特定多数の人間にオファーはかけないだろうからな。




