国からの支援
「個人レベルじゃ、有名ギルドのバックアップには遠く及ばないわけか。つまりそれが受けられている選手と比べて相当不利なわけだな」
「ああ。個人と組織とでは決定的な違いがあるからな……個人では組織レベルの支援には勝てん。……まあ、その組織レベルにもランクというものはあるがな」
「そりゃあ、実績のある有名なギルドと無名なところとは一緒に出来ないだろうな」
「そういう部分でも勿論、圧倒的な差はあるが……もっと巨大な組織が関わる事もありえるぞ。つまり国家レベル……国が総出を上げて一人の選手を支援するという事も過去には何度か発生している」
国全体が一人の個人に支援しているって事か……?
「……どんな奴だったら国全体からの支援を受けられるんだよ? それとも国がそういう制度を作ったのか?」
「程度の問題はあれ、どこの国だって大なり小なりの支援はしているさ。この場合は制度では無く、国がある人物を優勝させるために結成させたビッグプロジェクトの事を言う」
制度を作る事で火霊祭に挑戦するハードルを下げるとかではなく、本当に優勝を目指して強烈にプッシュしたのか。
「それだけその選手が優勝してほしかったという事か? ……いや、その人物が優勝する可能性がそれだけ高かったのか?」
これは……どちらもありえる話だな。
「両方だな。その人物は当時は優勝候補の筆頭候補だったからな。さらに付け加えると、詳しく調べてみるとその人物は王族の血縁関係者でもあったらしいとの事で一気に注目を集めたようで、その結果国から絶大な協力を得られたようだ」
まあ、王様と同じ血筋なんだとしたら、無視はできないな。
「そのレベルじゃないと国は全面バックアップなんてしくれないってわけか」
「それはそうだろう。国が一人の個人に対して支援なんてやったら国民が黙っていないだろうからな」
「暴動になりかねないわけか」
「ああ。火霊祭で勝利するというのは、国目線で考えるならばどれだけ優れた魔術師を保有しているかを他国に知らしめる事に繋がるからな疎かには出来ない部分だな」
火霊祭の上位に手堅く居座り続ける事が出来る選手は貴重なハズだしな。そうやって選手層の分厚さを知らしめていくのが国の目的なわけだ。




