それでも見つけ出す方法
「魔法での索敵がほぼバレると言うのであれば、もっと単純な方法で周囲を探索するしかないな。双眼鏡を持ち込むとかな」
「悪くない考えだな。魔術師は魔力を感知する事には長けていても、視線を感じ取る事に長けた者は案外少ないからな。肉眼で見える範囲では逆に見つかる可能性もあるが、道具を使用すれば身を隠しながら周囲を調べる事が出来る」
「まあ、これも相手が同じように双眼鏡を持っていたら話は振り出しに戻るがな」
お互いの道具も力量も同じレベルならどっちが勝つかは運の要素が強いなんてのは、火を見るより明らかな話だしな。
「そうでもないさ。魔法は敵を発見しやすいがバレやすい。文明の利器は敵を発見しにくいがバレにくい。この両方を上手く使いこなせばそれだけで戦いは有利に働く」
「お互いに互角のレベルなら、結局は同じ結果になるんじゃないのか?」
「完全に互角ならそうかもしれんが……本当に完全に互角なんて事はそうそうあるまい。様々な要素を総合評価し、ほぼ互角とする事は出来ても、あらゆる要素で互角とはならん。どこかで細かい優劣関係はあるものだ。道具と魔法を組み合わせる事で、その細かい優劣関係を浮き彫りにし、敵の位置の特定が出来るわけだ」
まあ、出場者全員が迷彩服を着て参加するかと聞かれたら流石にそんな事は無さそうだからな。ほんのちょっとした差が明暗を分ける事はあるだろうな。
「道具に言及するのであれば、着ている服装でも差はあるだろうな」
「確かに、自然公園での移動に適した格好というものはあるな」
「お前の家は、そういった道具選びで妥協はしないだろう?」
「無論だ。何が勝敗に繋がるかわからないからな」
「お前の家はそれが出来るかもしれないが、他の参加者達まで同じレベルを要求するのは酷というものだろう。つまりここで差というものが生じてしまうわけだな」
それこそ派手な格好で参加する連中だって普通にいるハズだからな。そもそもの話、大会開始初日で戦闘になる事を想定している奴はそこまで多くないハズだし、それを一点読みして、どこで戦うのかもわからない状態で準備を整えるなんてのは不可能と考えても良いってレベルだな。




