合流した後の懸念点
「どうやって合流するのか……か。あらかじめどこに集合するのか事前に決めておいて、試合開始直後にそこへ向かえば良いだけなのではないか?」
まあ、お互いの位置がわからないのであれば、それが一番早いだろうな。
「試合開始の場所がランダムだとすると、場所によっては不利になりそうだな。とは言え、それだけなら問題は無いか。……しかし、この策は重大な問題がある。他の選手達と鉢合わせする危険性が高いって点だ」
「……そりゃあ、可能性としては存在するだろうが……そんなにリスクの高い作戦か?」
「ああ。集まる事そのものと言うより、合流した後の行動を考えると危険極まりないな。基本的に合流した後はどこかで身を潜めながら敵を探すか、或いは敵がやって来るのを待ち伏せするかのどちらかになると思うんだが……合流するまでに時間がかかる以上、潜伏場所は合流地の近くになるだろうからな」
「その合流地が他のチームと被る可能性が高いという事か? ……いや、潜伏する場所が被りやすいのか」
オリヴィエも気が付いたようだ。いくら広いフィールドと言っても、身を隠したり罠を仕掛けたりするのに適した場所なんてのはそうそう多いものでも無い。専門家なら最も効果的な場所を見極めて陣取るのだろうが……まさにそこがもろ被りの原因になりかねない事になるわけだ。
「この手の作戦を行う場合、重要なのは敵に見つからない事だ。自然公園との事だから身を隠す場所は豊富だろう。だが、隠れてるだけでは試合には勝てない。敵を探し出すために有利な場所……見渡しの良い場所や高い木の上に身を隠すという方法もある。他にも潜伏場所を定めた上で逃走経路を作っておいたり……そもそも敵から発見されないように穴でも掘ってその中に隠れるって方法もあるだろう。問題なのは手が込むようになってくると作業中に発見される可能性が必然的に高くなるから、潜伏場所はどこでも良いって話じゃなくなるって事だ」
身を隠しながら有利な地形を自分で作るとなると、完全に時間との勝負になる。より吟味された場所が選択肢になってくるわけだが……その考えこそが他のチームと遭遇する可能性を高めてしまうわけだ。かと言って、そういうセオリーを無視した行動を取ったとしても、セオリー通りに拠点を作ったチームがいたらそれだけで不利が確定する。自分がセオリーから外れる事で得られるメリットは潰し合いを避けられる事と、そうなった場合、漁夫の利を得られる事にある。逆に言えば、潰し合いが起こらなければまんまと出し抜かれる事になるわけだ。




